シザンサス

□30,命を賭して
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「おいおいおいっ、オメェら! どこに勝機があるってんだよ!」

「勝てるわけねぇだろ! 相手は千人力の化け物だぞ!」


膨れ上がったモリアを前にして。

叫ぶリスキー兄弟に、ゾロが言った。

「見学なら黙って見てろ。…モリアとの勝負には、もう俺たちが勝ってる」

「「「はぁ!?」」」

「ただし、あとは朝日が差すまでの時間との勝負。モリアはその短時間を、イカれたパワーでやり過ごすハラだ」

「ゴムゴムのっ、JET(ジェット)ロケット!」


"ヒュッ、ボゴォッ!"


ルフィがモリアに攻撃を始めた。

ゾロはそれをじっと見つめる。

「俺達の消滅が先か、モリアの自滅が先か」

JET(ジェット)バズーカ!」


"ボゴォッ!"


「ウオオオ……」


モリアの口から、一気に100体ほどの影が抜けていく。

JET(ジェット)バズーカ!」

ルフィは攻撃を続けた。

「どんどん影が解放されてくぞ!」

「モリアの意識が薄れて、影の支配力が落ちてるんだ!」

「1000体の影なんて、さすがのモリアも制御しきれてねぇんだよ!」

JET(ジェット)バズ「欠片蝙蝠(ブリックバット)!」

モリアは渾身の力で、ルフィの周りに影のコウモリたちを集結させた。

コウモリたちは形を変え、箱になり、ルフィを中に閉じ込める。

影箱(ブラックボックス) 砕けろ!」

モリアは箱に向かって拳を振り下ろした。


"ドゴォッ"


ローリング海賊団は慌てふためく。

「ちょ、直撃!?」

「うわああっ麦わらァァ!」

…しかし、一味は誰一人うろたえていない。

何故なら我らが船長は…


"バキンッ"


「効かないねぇ、ゴムだから」

「んのっ…」

「ギア3rd」

親指をくわえ、膨らませるルフィ。

ウソップは目を見開いた。

「おいおいっ、重ねていいのかその技! お前この間、2ndだけでエライ目にあったじゃねぇかよ!」

その時の診察をしたチョッパーが青ざめる。

「本当に無茶だ…っ、ルフィ! 体がブッ壊れるぞ!」

しかし、ルフィが途中で止まるわけがない。

「ゴムゴムのォ…

 巨人の(ギガント)JET(ジェット)砲弾(シェル)!」


"ズドォンッ!"


「うぉぐっ…」


モリアは咄嗟に、両手で口を塞いだ。

「あの野郎っ、影を返さねぇつもりだ!」

ローラはモリアを見据え、叫ぶ。

「帰って来い! 私の影!」

「えっ、ローラ船長!?」

「聞こえないの! 私の影!」

日の光で顔を半分失いながらも、ローラは続けた。

「生まれたときからずっと一緒だったじゃない! この世に一緒に生まれたんじゃない! 帰ってきなさいよ! 3年間ずっと、アンタの入ったゾンビを探してたのよ! 今そこに居るんでしょ!? 聞こえてるなら帰って来い!」

「ちょっ、船長っ、もう影に入って下さい! 体が無くなっちまう!」

「だって悔しいじゃないっ、私の影、そこに居るのに!」

そう言われると、部下たちもグっときた。

「…確かにっ」

「こんなチャンス、もう二度と…っ」

部下たちも、ローラと共に叫び始める。

「帰って来い! 俺の影!」

「お前の帰る場所はここだ!」

「帰って来いよ!」

「帰って来なさい!」


その声を聞いて、ルフィは限界の体をおして立ち上がった。

「…俺の影にもっ、一言あるぞ。…お前っ、海賊王になりてぇんだったらっ、しっかり、俺について来い!」

ルフィはもう一発、JET砲弾を繰り出した。


"ボゴォッ"


モリアは背後の建物に激突する。

「出るぞっ、影が!」


"ビキッ、バキッ、


 ドゴォンッ!"


モリアがぶつかった衝撃か、建物がモリアの上に倒れた。

「ぎゃあああああっ!」

これにはさすがのモリアも耐えられない。

「くっ……麦わらァっ……はぁっ……テメェ……はぁっ……行ってみるがいい…本物の"悪夢"は、新世界にある!」


"ドパアアアアアアッ!"


モリアの中に溜め込まれていた影が、一斉に吹き出した。

 
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