シザンサス

□22,バスターコール
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『少佐以下、出陣不要。大佐・中佐のみ、精鋭200名により速やかに始末せよ』

軍艦の縁に200人が並ぶ。

1人1人が雑兵とは別格のオーラを放っていた。

そげキングのパチンコを持つ手が震える。

「ほ、本部大佐っつったら、あの煙野郎スモーカーと一緒じゃねぇか! あのレベルがあんなに!?」

「俺たちにビビってる証拠だ」

「あぁ〜っヤベぇよコレぇっ……って、サンジは?」

「…は?」

「あの金髪の兄ちゃんか? さっきまでこの辺にいたんだけどなァ」

「何だと? …こんなときにあの馬鹿コック、一体どこ行きやがった」

「総員戦闘準備! 行くぞ!」

「「「おおおおおお!!」」」


「フン、焦らしてねぇで早く来やがれ!」

「面白れぇ、もうひと暴れしてやるか!」

ゾロとフランキーはニヤリと不気味な笑みを浮かべる。

「ルフィが来るまで、ここだけは絶対に死守しろ!」

「「「うおおおおおおおおお!!」」」

精鋭200人が、一気に飛びかかってきた。

「ウェポンズ・レフト!」

"ヒュッ、ドゴォッ!"

手始めにフランキーが一発打ち込む。

続いて…

「1人2人相手にすんのも面倒だ。まとめてかかってきやがれ!」

"シュウィンッ"

ゾロが斬り込んだ。

一気に十数人が吹き飛ぶ。

「うわわわわわっ」

"ガキンッ"

ゾロとフランキーが交戦する中、そげキングは海兵1人に追い詰められていた。

"ガッ、ガッ、キィンッ"

海兵は刀を振りかざしてくる。

そげキングは何とかパチンコの柄で受けながらも、どんどん後ろへ下がっていた。

「ちょっ、タンマタンマ! てめっ、刀持ってんならゾロの方行けよ! それが筋ってもんだろうが! ……あ、何だアレ!」

「?」

「火薬星!」

"ボンッ!"

海兵は吹っ飛んだ。

「よっしゃぁ! フェイント作戦成功!」



"ガガッ、キィンッ、ガキンッ!"

ゾロの方は、数十人の大佐・中佐相手に大立ち回り。

「…ちっ、コイツら次から次へウジャウジャと、面倒くせぇ…。少しは骨のある奴ァいねぇのか! 何人束になってかかってこようが、俺には勝てねぇぞ!」

すると…

"ドスッ"

巨漢な海兵が1人、ゾロの前に立った。

「ほう、マサカリたァ豪気だな」

"ヒュォッ……ドゴッ、ガキィンッ"

一撃ごとに重たい音が響く。

「…気概は気に入ったが、力だけじゃ俺には勝てねぇぞ? ……鬼斬り!」


"ズォァッ!"



振り抜かれた刀。

巨体はいとも簡単に吹き飛ばされた。




"ガキンッ、キィンッ!"

「ちょっちょっ、だから刀持ってる奴はゾロの方行けって…"ヒュゥ…ドゴッ!"

そげキングに斬りかかっていた海兵の上に、ゾロが飛ばした巨漢の海兵が落ちる。

「ナーイス、ゾロ君!」

「気ぃ抜くんじゃねぇぞ」

「おう!」

そげキングは意気揚々と返事をし、くるりと後ろを向いた。

途端、

「ん?」

目の端にルフィとルッチの対決が映り込む。

「ル…フィ……?」

そげキングの目が見開かれた。

…ルッチを前にして、ルフィが倒れている。

「お、おい…ルフィ? まさか…っ」

そげキングの背後に海兵が忍び寄った。

それに気づいたゾロが、刀を一振り。

"フォンッ……ズバッ!"

「ぐぁぁっ」

飛ぶ斬撃が直撃し、海兵はその場に倒れた。

「おい! 気ぃ抜くなっつったばっ、か…」

怒鳴りかけたゾロだったが、そげキングの行動に目を見開いた。

「お前…」

そげキングの手には、外された仮面。


「ルフィィィ!」


喉が裂けんばかりに、"ウソップ"は叫んだ。

「お前何やってんだよ! 起きろーっ!」

ルフィは顔だけ動かし、瀕死の目でウソップを見る。

「……ウソ、プ……お前、来て、た、のか」

「勘違いすんじゃねぇぞ! 俺はロビンとティオを助けるために来たんだ! お前の顔なんか見に来たわけじゃねぇ!」

ウソップの背後では、ゾロが懸命に敵を押さえこんでいる。

「おいコラCP9のボス猫ォ! こっからは俺様が相手してやる! かかってこい!」

ジロリと、ルッチの目がウソップを捉えた。

ウソップはビビりながらも、挑発を続ける。

「い、いいか! 俺様は8000人の部下を抱える海賊の中の海賊、偉大なる海の戦士キャプテ〜ン・ウソップ様だ! グランドラインを股にかけ、島という島を荒らし尽くしたこの俺様なら! 貴様ら世界政府なぞ小指の先で捻り潰せちまうぞ!」

ルッチは静かにウソップを見ているだけ。

ウソップはさらなる挑発の言葉を掛けた。

「悔しかったらかかって来やがれ! このクソチビ猫!」



"ピクッ"



ルッチの眉が動いた。

ウソップの方へ歩き出すルッチに、ルフィが慌てて叫ぶ。

「や、やめろ…っ、アイツに手ぇ出すなっ」

「…既に敗北した貴様に用はない。…どっちみち、元・伝承者以外は全員殺すんだ。お前はそこで、仲間たちが死んでいくのを見ているがいい」

「よぉし来いボス猫ォ! 吹き飛ばしてやらぁ!」

「げほっ……やめろウソップ! 殺されるぞ!」

「ぅるっせえ! じゃぁ死に損ないのお前に何かできるってのか!?」

「っ、ぐ…コイツは、俺が倒すんだ!」

「だったら! すぐに立てよ! 死にそうなツラしてんじゃねぇ! お前らしくねぇじゃねぇか!」

ウソップは空に向けてピシっと腕を伸ばす。

「爆煙で黒くたって空は見える! 海だって見える! ここが地獄じゃあるめーし! オメェが死にそうな顔すんじゃねぇよ! 心配させんなこの野郎!」


感極まり、ウソップの目から涙が零れる。

ルッチは鬱陶しそうに目を細めた。

「…終わったか?」

そして、指をパキッと鳴らす。

おそらくウソップでは、指銃(シガン)の一発でも致命傷だろう。


「……わか…って、る」


ルッチの背後で、ルフィが立ち上がった。

「チッ……まだ立てるのか」

ウソップは涙を拭い、渾身の声で叫んだ。


「勝て! ルフィ! みんなで一緒に! 帰るぞォォ!」


ルフィは力強く拳を握り、叫び返した。


「当たり前だぁぁ!!」


戦いが再開される。

ウソップはそれを見届け、後ろを向いた。

 
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