シザンサス

□21,ゾロVSカク
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"ドゴォッ!"


司法の塔へロケットマンが突っ込んでから、しばらく。

「ん……」

まずはフランキーが目を覚ました。

やはり改造人間(サイボーグ)ゆえに体が丈夫なようだ。

周りを見渡せば、瓦礫の中でロケットマンが横転している。

麦わら一味はどこにいるのか分からないが、ココロ、チムニー、ゴンベが倒れているのが見えた。

「お、おいっ、大丈夫かお前ら!」

あれだけの衝撃だ。

死んだっておかしくない。

「おいっ、ココロのババァ! チビ共! 何でこんなとこにいんだよ! ロケットマンなんて危ねぇモン持ち出しやがって! …お、おかげで助かったけどよ…。おいババァ! チビ共! 頼むから死ぬなよ! なぁ!」

「…ん、あ〜…」

「えへへ〜」

「ニャァ…」

3人はむっくり起き上がった。

そして…


"テローン"


「「「鼻血出た」」」


鼻から血を垂らして笑う。

フランキーは目を剥いた。

「鼻血で済むのはおかしいだろが!」

すると、その背後で…

「うおおおおっ! やったぁ! 着いたぁ!」

ガコッと瓦礫が崩れ、ルフィが立ち上がる。

「麦わら、テメェ無事だったのか…」

フランキーが引き気味な目をする隣で、ココロたちはルフィに手を振る。

「お〜い海賊小僧〜」

「海賊にぃちゃ〜ん」

「ニャァ!」

「お〜怪獣のばぁさんたち! ありがと〜!」

ルフィはココロたちに手を振り返し、未だ瓦礫に埋もれている仲間たちの方を向いた。

「おいオメェら! さっさと立ち上がれ! こんくらい何でもねぇだろ!」

「……ゴムのお前と一緒にすんじゃねぇよっ……生身でこんな突入させられてっ、無事でいられるわけ―――


「あ!る!かあぁぁっ!!」



ドゴォッと音をさせて、全員立ち上がる。

ルフィは満足げに腕を組んで頷いた。

「よし! 全員無事だ!」

フランキーはまたも引き気味な目を、麦わらのクルーたちに向ける。

「…オメェらも大概おかしいからな」

「んぉ、あそこに階段がある!」

ルフィの一言で、麦わら一味は全員その階段へと走り出した。

…すると。


「待て」


ちょっと上の方から声がした。

一味は足を止め、声のした方を見上げる。

「チャパパパ、侵入されてしまった〜」

見上げた先では、壁に丸っこい生き物がへばりついていた。

口にチャックが特徴の、フクロウだ。

「何だ? アイツ」

「チャパ、さっきの部屋へ行っても、もうニコ・ロビンとティオはいないぞ。ニコ・ロビンはルッチが、ティオはカクが連れてったからな。…あぁ、あと長官もルッチと一緒だ」

それを聞き、ナミは一度首をかしげるも、ニヤリと笑みを浮かべる。

「そうなの〜。貴重な情報をありがとう?」

「チャパパ〜、喋ってしまった〜ぁ…」

チョッパーは怪訝な目でまばたきを繰り返した。

「なんか、面白いヤツ…」

「…まぁいい、チャパパ。ニコ・ロビンはちょうど正義の門へ向かっているところだが、行き方も教えないし、俺たちCP9がそれをさせない。お前たちを抹殺する指令が下っているチャパパ〜」

そげキングが青ざめる。

「抹殺…っ」

「お前たちは、俺たちCP9を倒さないと、ニコ・ロビンを解放できないのだぁ」

ルフィが額に血管を浮かび上がらせた。

「あぁ。お前に言われなくてもそうするつもりだ」

「チャパパ、威勢がいいな。…でも、もう一つ言わせてくれ」

「何だ、好きにしろ」

「チャパ、ありがと。…では、心置きなく」

フクロウは懐をあさり、鍵を一本取り出す。

「これを見ろ。ニコ・ロビンを捕えている、海楼石の手錠の鍵だ」

フランキーが首をかしげる。

「海楼石?」

「海と同じエネルギーを持つ石よ。悪魔の実の力を封じたり、能力者を弱らせたりできるの。たぶん、ティオの首輪もそうだわ」

チョッパーがひらめいた。

「それでロビンもティオも大人しくしてたのか! ホントは強いのに…」

サンジは新しいタバコに火を灯す。

「本来のロビンちゃんとティオちゃんなら、大人しく捕まってるわけねぇからな…」

「悔しいだろうな…」

「チャパパ、お前たちがもし万が一、ニコ・ロビンとティオを救い出すことがあっても、海楼石はダイヤのように固いので、手錠も首輪も永遠に外れることはない」

「ちょっと待って、じゃぁティオの首輪の鍵はどこにあるのよ」

「チャパ、それはカクが持っている」

「あらそう、ありがとっ」

「チャパパ〜、また喋ってしまったぁ…」

「…やっぱ何か面白いな、アイツ」

「一生手錠と首輪でもいいなら、このまま二人を助けに行けぇ、チャパパパ!」

「…じゃぁ、寄越せぇ!」

ルフィがフクロウ目掛けて腕を伸ばす。

しかし…


"シュッ"


フクロウは(ソル)で消えた。

「くそっ、アイツもアレ使えんのか」


"クルルル…シュタッ"


「慌てるな。まだこの鍵が本物だとも言ってないぞ」

「「「なにぃぃっ!?」」」

「あ、ティオの鍵をカクが持ってるのは本当だ」

「「そこは正直かよ!」」

フクロウはクルクル踊りながら歌い始める。

時折、月歩(ゲッポウ)で空中も飛んだ。

「別の手錠の鍵かも、しぃれぇなぁい〜、チャパパパパ〜! この塔の中にぃ、俺を入れてCP9は5人いるが〜、それぞれ一つずつ鍵を持ってぇ、お前たちをぉ、待ってぇいる〜」

「じゃぁロビンの鍵は、お前らを倒して鍵を奪い、一つ一つ試してみるまで分からねぇってことか?」

「…くだらねぇ時間稼ぎを。…そうこうしてる間に、ロビンちゃんを正義の門へ連行しようってか」

「そのとぉりだぁ〜! …まぁた喋ってしまったぁ…」

情報を整理し、ナミが話し出した。

「…とりあえず、アイツらはティオを殺すことはないわ。急ぐべきはロビンよ。まずロビン自身を奪い返して、鍵とティオは二番手。そうしないと間に合わないわ」

「チャパ、お前頭いいな。…だが、そんなことをしたら、こんな鍵、海へ捨てちゃうぞチャパパ〜」

「んなっ」

「俺たちはチャンスをあげているのだ。じゃぁな」


"バシュッ"


フクロウは空中をひと蹴りして、どこかへ飛んで行ってしまった。

「あっ、待てこの野郎!」

「お前が待てルフィ!」

走り出したルフィの頬を、ゾロが掴む。

当然、顔がビヨ〜ンと伸びた。

「んがぁっ、放へぇーっ!」

「もうちょっとだけだっ、これからの各自の動きを確認するまで待てっ!」

「落ち着きたまえルフィ君!」

そげキングも一緒になってルフィを止めた。

サンジがタバコの煙を吹いて話し出す。

「ロビンちゃんを連れてるルッチってのは、あのハト男のことか?」

「あぁ、そうだ」

「だったらルフィだけでも先に行かせよう。…おい、ルフィ、お前はとにかくハトの野郎をぶっ飛ばせ、いいな?」

「んががぁ〜っ、放ぁへぇ〜〜っ!」

「ルフィを抜いて俺たちは6人。ここに5人いるらしいCP9から鍵を5本手に入れ、カクとかいう四角っ鼻と当たった奴は、ティオちゃんも助けて、ルフィを追う」

「…四角っ鼻は俺がやる。…アイツとの決着はまだついてねぇからな」

ゾロが、片手でルフィを止めながら、もう片方の手で刀の鍔を弾いた。

それを横目に見つつ、サンジは再びタバコの煙を吹く。

「…何もかも時間との勝負だ。ロビンちゃんが正義の門をくぐっちまったら終わりだからな」

ゾロはルフィを放した。

走るルフィに巻き込まれて、そげキングはコケる。

「…負けは時間のロスだ。全員、死んでも勝て!」

ゾロの一声で全員走り出した。

「「「おう!」」」

6人の背中に、ココロたちは手を振る。

「んががが、気ぃつけんだよ〜」

「頑張れ〜にぃちゃんたち〜!」

「ニャァ!」

 
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