シザンサス

□21,ゾロVSカク
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数分後。

「あああああ! もう勘弁してくれぇ!」

ゾロとそげキングは、相変わらずカクとジャブラから逃げ回っていた。

チョッパーはまだ現れない。

…どころか、CP9と交戦する羽目になったようだ。

クマドリと戦っている様子が、見聞色の覇気から伺える。

「…くそっ、チョッパーはまだなのかっ」

「ぜぇっ、ぜぇっ、ぞ、ゾロ君っ、わ、わたしはもうダメだっ、疲れたっ! おんぶしたまえ!」

「知るかぁ!」

嵐脚(ランキャク)


"シュウィン…ズゴッ!"


「いやあぁあぁあぁぁぁっ!」

カクが嵐脚を放った瞬間、ジャブラはカクを睨んだ。

そして…

指銃(シガン)!」

カクに向けて指銃を放つ。

「っ、何するんじゃジャブラ!」

「テメェ今、アイツら狙ってる振りして俺を狙ったろ!」

「とんだ言いがかりじゃ。…が、やるんなら相手になるぞ? わしもさっきからお前が邪魔で仕方なかったんじゃ」

「んだとぉ!? そりゃこっちの台詞だ草食動物が!」

「いいや、わしはどちらかというと肉が好きじゃな」

「フン、テメェは大人しく木の葉っぱでもモグモグ食ってりゃいいんだよ」

喧嘩を始めて2人が立ち止まったため、ゾロとそげキングも足を止める。

揉める2人を見て、そげキングは思いついたように手をポンと叩いた。

そしてわざとらしく声を張り上げる。

「いや〜興味あるなぁ! ねぇゾロ君、キリンさんとオオカミさんて、いったいどっちが強いんだろうねぇ〜」

「ぁあ?」

「是非見てみたいと思わないかね?」

「べつn「そうかそうか!やっぱりゾロ君も見てみたいってか2人の勝負を!」

「いやだかr「ふむふむなるほど、ゾロ君の予想では、やはりオオカミさんの方が強いだろうってか〜」

それを聞いて、ジャブラは嬉々とし、カクは眉間にしわを寄せる。

「なになに〜? でもキリンさんも捨てがたいって〜? 確かに、さっきの周断(アマネダチ)だっけ? 凄かったもんねぇ〜」

今度はカクが嬉しそうな顔をして、ジャブラが不機嫌になった。

それを見たゾロが、謎が解けたと言わんばかりに手を叩く。

「そうか! アイツら焚きつけて、あわよくば相打ちになりゃ儲けもの、せめて喧嘩してる間に逃げようってんだな?」

「っておい! 今頃気づいたのかよ! しかもそれをハッキリ言うな馬鹿ぁ!」

「なるほど、危うくハマるところじゃった」

「やっぱ獲物が先だな」

「あ〜〜もう! まったくゾロ君っ、君って人は何でそうなんだ!」

「フン、元々そんな大した作戦でもねぇだろうが」

「だったら君には他に何か作戦があるというのかね!?」

「……」

「なっ、何で黙るんだい…?」

ゾロは真剣な表情でそげキングを見た。

「ジャンケンするぞ」

「……。……は?」

「面倒なのはこの手錠だ。コレを外す方法がある」

「ぇ、ジャンケンと何か関係があるのか?」

「負けた方の―――


 手首を切り落とす」


「んなっ、なに真顔で怖ぇこと言ってんだよテメェは!」

「まだ先の話を聞け! …そうやって手錠を抜け出した方は、落ちた手首を持って急いでチョッパーの元へ行き、手を元通りに繋いでもらう」

「ぬいぐるみかぁぁっ! アホ言ってんじゃねぇよ!」

ティオもため息をつき、遠くから反論した。

「そんなこと、したら、ちょっぱーのとこ、つくまえに、しんじゃう。ばか」

「馬鹿とは何だテメェ!」

「いいからその考えは捨てたまえゾロ君! どう考えてもティオ君の方が正しい!」

「だったら……もう一つアイディアがあるんだが?」

「わーわーっもう聞きたくねぇ!」


「いいから言う通りにしろ。危ねぇことはしねぇよ」

強引に説き伏せられて、そげキングはゾロのアイディアとやらを試すことになった。


"チャキ…"


しばらく鞘に収められていた刀三本が、数分ぶりに陽の目を見る。

「ぞっ、ゾロ君、これは本気かねっ?」

そげキングはプルプル震えていた。

ゾロはそんなことお構いなしに、カクとジャブラの方へ向き直る。

「…いいかそげキング、姿勢を崩すな? お前は刀だ」

「弁護士を呼んでくれぇっ! わたしは必ず君をっ、訴えてやるっ!」

…哀れ、そげキングは刀・雪走を持たされ、ゾロの右手で持ち上げられていた。

ピシっと背筋を伸ばしていれば、まるで刀の一部のようだ。

…それよりも、大の男1人を片手で持っていられるゾロの腕力が不思議である。

「好きに喚いてろ。…とりあえず、試し切りさしてもらうぜ?」

そう言って、普通の刀と同じ速度でそげキング&雪走を振る。

「あぁ〜これは夢だぁ! 朝よ早よ来い!」

「フン、変ったことをする奴らじゃのう」

「ぎゃははははっ、何だそりゃ!」

「…ほんと、よそう、ふかのう」

本日何回目か、いや、何十回目か。

ティオはまたしてもため息をついた。

…ゾロはいたって本気らしく、"鬼斬り"の構えを取る。

「鬼―――」

「ぅぇえっ!? ちょぉっマジでやんのかよ! 鬼はテメェだろうが!」

「斬りィっ!」

"ジャキンッ"

「「(ソル)」」

"シュッ"

カクとジャブラはあっさりよけた。

「…ちっ、じっとしてろそげキング!」

ゾロは次に"虎狩り"の構えを取る。

「虎―――」

「へっ!? とっ、虎!? トラブル発生! トラブル発生!」

「狩りィっ!」

"ズバンッ"

"シュタッ"

またしてもよけられる。

「…ちっ、いつもよりだいぶ遅せぇっ」

やはり大の男1人を振り回すのは、刀を振り回すのとは雲泥の差らしい。

「動くなっつってんだろそげキング!」

「無茶言うんじゃねぇよ! 殺す気かぁ!」

「…馬鹿なのかコイツら」

「真面目に戦う気、あるんかのう」

「はぁ……やっぱりジャンケンするしかねぇか。…んで、負けた方の手首を斬る」

「だぁからもちっとマシなアイディアねぇのかよ!」

「あぁ、ねぇな」

「あっさり言うなぁぁ!」

「言い合ってる時間はねぇんだ。観念しろ、鼻」

「観念しろ、鼻…っじゃねぇよぉっ! あ〜〜〜っ、チョッパー! 早く2番の鍵持ってきてくれぇ! ティオ〜っ、チョッパーはまだなのか〜っ?」

「(コクン)…いま、たたかってる、とこ。まだまだ、かかりそう…」

「マジかよぉ…」


…と、そのとき。


"ブッ…"


エニエス・ロビー全土に設置された、放送用の電伝虫のスイッチが入った。

 
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