シザンサス

□17,ウォーターセブン
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シフトステーションを出て数時間。

ゴーイングメリー号はログに従い、東へと進んでいた。

「うん、いい風。案外早く水の都に着けるかも」

ナミがそう呟く中、男たちは船大工について話し合っていた。

「ルフィ、船大工探しは俺に任せろ。もの凄い美女を見つけてみせるぜ!」

「なぁに言ってんだサンジ、大工だぞ!? 山みてぇな大男に決まってんじゃねぇか。5mだ!」

「い、いや、けどよルフィ、あんまりデカイとこの船で生活できるかどうか……」

そんな話を聞いて、ゾロがため息をつく。

「腕がありゃ誰でもいいだろ? その前に海賊船に乗ろうって物好きがいるかが問題だ」

チョッパーがワクワクしながらナミに走り寄った。

「楽しみだな! また仲間が増えるのか〜!」

「ふふっ、先に駅に着いてラッキーだったわね。ココロさんに地図書いてもらえたから。地図の場所に行って、アイスバーグという人を尋ねれば……」

期待を胸に地図を開いてみるが……


「分かるか!」


叫んで丸めて甲板に投げつける。

チョッパーがそれを拾った。

「うわっ……ルフィ並みだ」

そこらに転がっていたクレヨンで描かれたかのようだ……

「いいかオメェら、こーいう奴をみんなで探すんだ!」

……と言うルフィの手にも、同じような絵。

ぐにゃっとした人型が描かれ、横に『ふなだいく』と『5メートル』が書かれていた。

ウソップとサンジがドン引きする。

「も、もしそんな奴がいたら俺は逃げる……」

「あぁ、俺もだ……。船があれば海へ逃げる。だがタコの血を引いてそうだから、海まで追ってきそうだ……」

「何の話してんだオメェらは」

と、船首へ続く階段を登りながらゾロが吐き捨てていく。

「……ったくどいつもこいつも………ん?」

船首へ来ると、欄干にティオが腰掛けているのが見えた。

足をぶらつかせて海を眺めているらしい。

「んなとこ座ってっと落ちるぞ」

「……ぞろ」

「水の都とやらは見えたのか?」

「んーん、まだ」

「ふーん」



その頃。

甲板では、ウソップがマストに抱きついて頬をすり寄せていた。

ルフィが首をかしげて訊く。

「どしたー? ウソップ」

「このブリキの継ぎ接ぎもよぉ、戦いと冒険の思い出じゃねぇか。これが綺麗に直っちまうかと思うと感慨深くもあるわけだ、俺は」

そこにタバコの煙が漂った。

「それも分かるが、特にグランドラインに入ってからのメリー号への負担は相当だ。甲板の軋みも船底の水漏れも酷い。このまま放っときゃ、船も俺たちも危険だぜ」

サンジの不安を、ルフィの笑い声が吹き飛ばす。

「まぁでも、今は金もいっぱいあるしよ、完璧に元気にしてやれるさ! パワーアップも出来るぞ!」

「おっ、んじゃあ大砲増やそうぜ! 俺様のこの腕で、どんな敵船からもメリー号を守ってやる!」

「じゃあ銅像も乗せよう!」

「いや、それはいらねぇだろ……」



そのとき。

「みえた。うぉーたーせぶん」

ティオの白い指が前方をさした。

ゾロも前方を確認し、みんなに知らせる。

「オイお前ら、見えてきたぞ」

「「おぉっ」」

ルフィとウソップが目を輝かせて船首へ走って来た。

「うほほっ、島だ! 島が見えたぞ! よーしみんなっ、漕げ〜!」

サンジが呆れながらやってくる。

「風は十分。無駄な体力を使わすな」

 
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