シザンサス

□17,ウォーターセブン
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メリー号は風を受けてまっすぐ進んだ。

次第にウォーターセブンが近くなり、ルフィたちの目が見開かれていく。

「うぉぉ……」

「なんだこりゃ……」

ロビンがふふっと笑う。

「素敵ね。水の都と言われるだけあるわ」

大きな三角フラスコ状の島。

その頂点には噴水が設置され、大量の水が流れ落ちている。

その水は、島のいたる所に引かれた水路を通り、海に流れ込んでいた。

ルフィとウソップが叫ぶ。

「うほほっ、でっけ〜噴水!」

「まるで産業都市だな! こりゃ海列車も走るわけだ」

チョッパーが目を輝かせながらも、首をかしげてティオを見る。

「あんな大量の水、どうなってんだ?」

「ふんすいで、くみあげて、まちじゅうの、すいろ、とおして、うみへ、ながしてる。ここは、みずのちからで、なんでも、する」

「へぇ〜!」

「なぁチョッパー、あの水滑り台でレースやんねぇか!」

ルフィが指さしているのは、海へ繋がる大きな水路。

「い、いやだっ!」

チョッパーが涙目で首を振ると、ゾロが呆れ顔でルフィに言った。

「アホ抜かしてろカナヅチのくせに」

「んぁ、そっか〜」

「それより、あの数字はどういう意味だ?」

ゾロが、点在している巨大な扉を指さす。

扉には1から5までの数字が書かれていた。

ルフィが先ほど描いた絵を持ち出して、自信満々に答える。

「きっと、5メートルの船大工が出入りするための入り口だ!」

すかさずウソップがツッコんだ。

「そんなのが何人もいるのかよ!」

ティオが呆れ顔で答えを教える。

「そんなの、いない。あれ、どっくの、いりぐち。ふね、はこびいれる、ところ」

「おっ、んじゃあメリー号も、あのどれかで修理してもらえんのか!」

輝くウソップの目に対し、ティオの目は細まる。

「それは、どう、だろ。かいぞくせん、だから」

ゾロがフっと皮肉めいた笑みを浮かべた。

「まぁ、あまり期待しねぇことだな。逆に堂々と正面から迎えられたら疑った方がいい」

船を停める場所を探していたナミが、正面を指さす。

「ねぇ、あれ見て。ブルーステーションって書いてある。ココロさんの言ってた海列車の駅ね。……港はどこかしら」

ウソップが辺りを見渡した。

「街の方なんじゃねぇか?」

すると……


「お〜い、お前さんたち〜」


どこからかのんびりした声が聞こえてきた。

メリーの頭に乗っかったルフィが、近くに小舟を見つける。

話しかけてきたのは釣り人だったようだ。

「海賊が堂々と正面にいちゃマズいぞ。向こうの裏町へ回りなさい」

「おう! ありがとな!」

メリー号は主舵いっぱいで、街の水路へと入っていく。

「うわっ、すごい! 水上都市!? きれいねぇ〜」

見開いた目で、ナミは辺りを見渡した。

石造りの家々が水の上に建っている。

チョッパーが欄干によじ登った。

「でもさ、街が水浸しだぞ? 家が水に沈んでる」

横にティオとロビンがやってくる。

「ちがう。しずんで、ない」

「え、そうなのか?」

「もともと沈んだ地盤に作られているのよ。家の柱を見て?」

「ん? ……あ、ほんとだ! 柱が高く作られてる!」

「みずを、あいして、じょうずに、つかう。それが、うぉーたーせぶん」

「そうなのかぁ〜」

「おい、早く船つけろ! 俺早く降りてぇ!」

ルフィがウズウズしていると……

「お〜いキミたち〜!」

また街の人に声をかけられた。

「ここは海賊船はダメだぞ。何しに来た? 略奪か?」

ルフィが正直に答える。

「いーや、船を修理したいんだ!」

ウソップが半目でまばたきを繰り返す。

「略奪って訊くか? 普通……」

話しかけてきた男は別の水路を指さした。

「ここを抜けたとこに岬があるから、とりあえずそこに留めるといい」

「おう! ありがと〜ぉ!」

「はぁ……またかよ」

「しょうがねぇだろ、海賊なんだから」

 
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