シザンサス

□11,空島最終決戦
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エネルと共にナミが去ってから数十分後。

シャンドラの遺跡は、砂塵が舞うだけで静かだった。

そんな中、唯一うごめくものが……


「ゴムゴムのぉ……(ピストル)!」


"ドカッ"


ルフィのパンチで、黒こげになったうわばみの口が開いた。

「うわぁぁっ!」

「ピエッ、ピエ〜ッ!」

「うお〜っ!」


"ドサ…ッ"


ルフィ、アイサ、ピエールが、うわばみの口から飛び出し、遺跡へと落ちてきた。

随分と久し振りに思える外の空気を、アイサは思いっきり吸い込む。

「はぁ、外だ……やっと、出られた。……あれ、石の地面だ。何だろ ここ」

「うっほ〜〜〜い!!」

「?」

突然ルフィが走り出し、十数メートルの高さがある遺跡の階段を駆け上がっていった。

「何かあったの〜? ルフィってば〜!」

アイサも慌てて後を追う。

ピエールは落ちた衝撃で、しばらく目を回していた。

遺跡の階段を登りきったルフィは、頂上で叫ぶ。

「出たー! 出られたー! うひょ〜っ見ろ! どこだここは? 遺跡だな。ここにあんのか〜、でっけぇ黄金の鐘!」

アイサもようやくルフィの元に辿り着いた。

「もしかして ここ、アタイたちのふるさとなんじゃ……」

「そうなのか? すげぇなオメェら! ……ん? なんだ? でっけぇ穴がーーー」

そこまで言ってルフィは固まる。

その大きな穴の周辺に、傷ついた大切な仲間たちが見えたから。

「……っ」

ルフィは遺跡の頂上から飛び降りて、全速力で走り出した。

「ルフィ!? 待って! どこ行くんだよ〜!」

アイサが慌てて追っていく。

ようやく目が覚めたピエールも後を追った。

「ゾロ! お前、何やってんだよ!」

ルフィはゾロの肩を掴んで揺らす。

「お前がいてっ、何でっ、何でこんなことになってんだ!」

ゾロの近くには、ロビン、チョッパー、ティオ、ガン・フォールが倒れていた。

「ピエエエエェェェェェェェッ!!」

ピエールがガン・フォールに駆け寄って、その身を起こす。

そこでルフィは周囲を見渡して、あることに気づいた。

「……ナミ……ナミは!? アイツがいねぇ!」

その頃、アイサは穴の中にいた。

「ワイパー! ……うぅっ……ワイパーまでっ」

アイサの声を聞きつけ、ルフィもそこへやってくる。

一戦交えているため、ルフィはワイパーのことを覚えていた。

「あのバズーカの奴だ。あんなに強ぇのに……。いったい誰にやられたんだ?」

「エネルだよ! ……こんなこと出来るの、アイツしかいない」

「エネルって、神か」

「うん。へびの中にいた間、心網(マントラ)が効かなかったから、ここで何があったのかはわからないけど……」

そうして話していた声が聞こえたのか……

「……ん……る、ふぃ?」

「ティオ!」

ティオが目を覚ました。

ふらりと立ち上がって、ゆっくり歩み寄ってくる。

今にも再び倒れそうなその体を、ルフィは支え、座らせた。

「何があったんだ、ここで!」

「それ、は……」

ティオが答えようとすると、

「……ぅ……んっ……」

「ロビン!!」

すぐ近くにいたロビンも目を覚ました。

「……航海士さんなら、連れていかれたわ」

「連れてかれたって、神の奴にか?」

「えぇ……それと、もう一つ、よく、聞いて……このままだと、この国は、スカイピアは、消滅してしまう」

「空島が!?」

「アタイたちの村も!?」

「全てよ……空にいる全ての人々を、地上へ返すと。……それから、黄金の鐘を手に入れようと、してる。おそらく、あの、巨大なツルの頂上付近を、目指す、はずよ……」

ロビンがそこまで言うと、ルフィはティオの方を向いた。

「ティオ、神の奴とナミが今どこにいるか分かるか」

「(コクン)」

ティオは朧気な意識で、震える腕を懸命に伸ばし、一つの方向を指さした。

「……あ、っち。……なみちゃん、まだ、ぶじ。だから、はや、く……」

"ドサッ"

「ティオ!」

激しい目眩に耐え切れず、ティオはもう一度倒れ込んだ。

「アタイも分かるよ。この島で声が二つ動いてる」

「アイサ」

「?」

「俺をそこに連れて行け!」

「うん!」

「ピエッ、ピエピエッ!」

ルフィが、先ほどティオの指さした方へ走り出す。

合わせて、アイサを乗せたピエールもその後を追った。


……あとはルフィたちに任せるしかない。

ロビンとティオは、じっと彼らの背中を見送った。

 
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