シザンサス

□11,空島最終決戦
6ページ/6ページ



言葉では表しきれない、荘厳な鐘の音が、

スカイピア全土に、

いや、青海まで確実に、

空気を震わせ、島を震わせ、海を震わせ、

400年の時を越えて、高らかに、


響き渡った―――。






「……」

ティオは空を見上げたまま絶句していた。

胸に込み上げる得体の知れない感情。

巨大な鐘の音が伝える振動に合わせて、体中がゾクゾクしている。


なに、これ―――。


「ん……」

後ろで、ゾロの声が目を覚ました。

ティオは振り向いて駆け出し、身を起こしたゾロに飛びつく。

「うおっ」

さすがのゾロも、今の体にティオが飛びついてくるのは辛い。

眉間にしわを寄せて、首にまとわりつく細い腕を振り払おうと掴んだ。

しかし……

「な、った……なった、よ?」

「?」

耳元で聞こえる、今までに聞いたことのない震える声。

「すご、い、すごい、の……っ」

ぎゅっと力の入る、細い腕。

ティオは涙を流していた。

「……な、に、これっ……わか、んない…………うれ、っしく、て……くる、しぃっ」

「……」

ゾロは、ティオの腕を掴んでいた手を、頭に移動させた。

「……だから海賊はやめられねぇんだよ。……分かるか?」

ポンポンと軽く叩くと、ティオは小さく頷いた。




12,晴れ渡る空
 
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ