シザンサス

□8,VSシャンディア
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数分後。

何度か地響きがしたのち、辺りは静かになった。

そして探索チームはといえば……

「困ったわ。コースへ戻っても誰も来ない。私がはぐれちゃったのかしら……。先に行って待つほうがいいかしらね」

ロビンはきちんとコースに戻ってこれたらしい。

しかし他のメンバーは……

「やべぇ! はぐれた! 助けて! みんなどこだぁぁぁっ!」

チョッパーは狼狽えていて……

「やれやれ、あいつら迷子か? 先に行って遺跡で待つか。ん〜と南だから、あったかそうな方だな!」

ルフィは暖かそうな方を目指し始め、ずば抜けて方向音痴の彼に至っては……

「アイツらどこだ? ったくちょっと目を離すとこれだ……。まぁいいか。あいつらはあいつらで何とかやるだろ。俺も大体地図は頭に入ってる。右だな」

そう言って"左"に歩き出す頭には、いったいどんな地図が入っているというのか……

幸いにも、今回は道が分かる存在がくっついてきている。

「ぞろ、ばか。そっち、ひだり。それに、むかうの、みぎ、ちがう。みなみ」

「ぁあ? 南だぁ? ……って、お前いたのか」

「ずっといた。ばか」

「2回言うんじゃねぇよ!」

「いいから、みなみ、むかう」

ティオはそう言って、前足で進むべき方向を指さした。

「よし、こっちだな」

ゾロはティオに従って進み始める。

……しかし。

「……」

ティオはジト目をして、前足でゾロの額をペチペチ叩いた。

「ぞろ、め、みえてる?」

「は? 当たり前だろ」

「みなみ、こっち」

ティオはそう言って、もう一度進むべき方向を指さした。

「こっちか」

ゾロは先程同様にティオの言うとおりに進み始めた。

……が。

「……はぁ」

ティオは深々とため息をつく。

「何だ、もう疲れたのか? だらしねぇぞ」

「……あるいみ、つかれる。すごく」

だって、いくら道案内しても、3歩歩けば勝手に曲がってしまうのだから。

そう思うティオだが、それを言う気力さえ残っていなかった。





さて、そうしてティオがいるにも関わらず、迷い続けて数十分。

ティオは呆れた顔をしながら、どうしたら目的地にたどり着けるか考えていた。

そんな思考の傍らでは、見聞色の覇気が様々な情報を拾う。

「ろびん、いせき、ついた」

「へぇ」

ティオの情報に、ゾロは特に興味がない様子で、周囲を見回しながら進んでいた。

しばらくすると、ティオの耳が動く。

「……ぞろ、とまる」

「ぁあ? 何だってんだ今度は。またうわばみか?」

「……」

問いに答えることなく、ティオはゾロの頭から飛び降りつつ人間に戻った。


"ボンッ"


そして、数メートル離れた樹の上の一点を見つめる。

「……」

「何かいんのか?」

ゾロもそちらを見て目を凝らすが、いかんせん遠すぎて何も見えない。

「3にん」

「は?」

そる()


"シュ……ッ"


「!」


気づいたときにはもう、ティオの姿はそこにはなかった。

「……どこ行きやがった」

ゾロは軽く周囲を見渡す。

すると……

しがん(指銃)


"ドスドスドスッ!"


「ぐあぁっ!」

「な、なんだコイツ!」

「うわぁっ!」

先程ティオが見つめていた樹の上から、男の叫び声が響いてきた。

「なんだ?」

男が3人、樹から落ちてくる。

外見からしてシャンディアの戦士。

「てぃおにそげき、なんて、10ねんはやい」

「!」

ゾロは背後からした声に肩を揺らし、振り向いた。

本能が悪寒を感じる。

ティオはいつの間にかそこにいた。

「……」

ゾロは不審なものを見る目で見下ろす。

「……お前、今 何した」

「?」

不思議そうに首を傾げたまま、ティオは鼬に変わった。

「こっち、ねらってた、3にん、おとしただけ」

淡々と答えて、ゾロの頭の上によじ登る。

「ここ、はんけい、500めーとる、てき、8にん、いる。きをつけて」

「……」

ゾロは仏頂面で歩き出した。

戦闘など無縁と思われていたティオの意外な一面に、何か思うところがあるようだ。

「ぞろ、そっち、いまきたみち」

「ぐっ……」

慌てて方向転換するゾロ。

しかし、方向転換しても遺跡の方には向いてくれない。

ティオはまた小さくため息をつくことになった。

 
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