シザンサス

□5,スカイピア
1ページ/5ページ




しばらく雲の道を突き進んだメリー号は……


"ボフンッ"


雲を突き抜ける音と共に、上層の海へ辿り着いた。

「あっ! 島だ! 空島だァ!!」

メリーの頭にしがみついていたルフィが、いち早く目の前の島に気づいて叫ぶ。

ウソップとチョッパーも目を輝かせた。

「「うわぁ〜〜〜〜!」」

ロビンは辺りを見渡し、ナミに訊く。

「ねぇ、さっきの看板、スカイピアって……」

「えぇ、ルフィが見つけた地図の名前と同じよ! あのガレオン船は本当にここに来ていたのね! 彼らは200年も前にこの景色を見ていたんだわ! それにティオの話だと、ここが空島の中で一番大きいらしいし!」

メリー号は島へと進み、近場の海岸につけられた。

「うはっ! 冒険の匂いがプンプンすんぞ! いやっほ〜い!」

「あっバカお前!」

海に飛び込んでいくルフィを追って、ウソップは救助するつもりで頭から飛び込む。

しかし……


"ポチャッ"


「足着くぞ」

「ブベラッ!」

ウソップは浅い海雲に頭から突き刺さった。

しかし、怪我はしないで済んだ。

「この島、フカフカ雲でできてんのか?」

「ニシシッ、フカフカだなっ!」

「フカフカだぁ!」

「うっし! 上陸だァァァァァっ!」

ルフィとウソップは島へと走っていく。

「おっ、俺も俺も!」

チョッパーも慌てて2人についていった。

「あたしも着替えてこよっと!」

ナミはスキップで船室に入っていく。

「ふふっ、私たちも動きやすい服に着替えましょうか」

「(コクン)」

ロビンとティオも着替えに行った。

「おいルフィ、碇はどうすんだ? 海底がねぇんだろここは」

「んなもんどーでもいいだろ〜!」

「……はぁ、ったく」

ゾロはため息をつきながら、碇を浅瀬に落としてみた。


"ボフンッ"


島雲がフカフカすぎるせいで、碇は深く刺さらない。

ゾロは何度も碇を引き上げ、刺し直した。

結局、納得いく深さまで刺さることはなく、ため息をついて周囲を見渡す。

「しっかし、たまげたなこの風景には」

横にサンジがやって来た。

バカ騒ぎするルフィたち3人を眺め、タバコの煙を吹く。

「あぁ。景色もだが、アイツらのはしゃぎようと来たら、しょうがねぇな」

サンジは船の欄干に手を掛けた。そして……

「いやっほぉ〜う!」


"バシャ〜ンッ!"


三回転ジャンプで飛び込んでいった。

ゾロが半目で見下ろす。

「オメェもだろ……」





その頃、船室では。


"コンッ、コンッ"


「いった! 痛い痛い痛い! ごめんってば!」

ナミがサウスバードに頭をつつかれていた。

ティオが翻訳する。

「『何時間もこんな狭い場所に閉じ込めやがって』だって」

「ふふふっ」

笑うロビンを横目に睨んで、ナミは慌てて船室を開けた。

サウスバードが空へ飛び立っていく。


"ジョ〜〜〜〜"


「サウスバード、連れてきちゃってたんだっけ……逃がすの忘れてた……」

つつかれた頭をさするナミに、ゾロが言う。

「ここには人も住んでるみてぇだし、大丈夫だろ。頑張りゃ、下に降りられねぇこともねぇ。鳥なんだし?」

「まぁね……あ、そういえば碇は?」

「一応下に刺さった。例のフカフカ雲だ。そいつがこの島の基盤らしい」

そこに、着替えたロビンとティオがやってくる。

「そうなると、この島は海雲に浮いてることになるけど、流されもせずに、同じところに留まっていられるものなのかしら」

「ま、見たままを信じるしかないわね。ホントに信じられないことばかりだけど、空島がここにあるってのは確かだし……」

"パシャンッ"

ナミは浅瀬へ飛び込んだ。

「あははっ! こうやって自分の体で感じちゃったもの! 疑いようがないわ! アンタも来なさいよ! 足が着くから溺れないでしょ?」

言って、島の方へ走っていってしまった。

ロビンはナミをじっと見てから、ゾロの方を向く。

「あなたは行かないの?」

「ん? あぁ、行くよ」

答えを聞くと、はしゃぎ回るルフィたちへ視線を戻した。

「冒険の匂い、ねぇ……航海や上陸が冒険だなんて、考えたこともなかった」

その言葉は、ティオにも深く染み渡る。

「……」

ティオはちらりとロビンを見上げた。

今まで、仕事で数え切れないほど海や島へ出掛けてきたけれど、こんなにワクワクしているのは、今が初めてだ。

「さぁ、行きましょうか」

「(コクン)」

ティオはロビンの手を取り、一緒に船を降りていった。

「は……ふかふか」

初めて踏んだ雲の感触に、珍しく大きな反応を見せる。

「ふふっ、本当に面白いところね」

ロビンは笑いながら、ティオの手を引いていった。

「……」

ゾロはしばらく2人の背中を見ていたが、やがて自身も、船を降りていった。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ