シザンサス

□5,スカイピア
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"ザザァ〜……"


空の海でも、青海と変わることなく波が寄せる。

そのゆったりとした音には、誰もが眠気を誘われた。

「なぁ〜んか空島ってぇ、眠くなるところだなぁ〜……」

フカフカの雲の上で、まったりしているチョッパー。

「あーこちらキャプテン! 楽しすぎて何から始めたらいいのか分かりません! どうぞ!」

「こちらウソップ〜! ひとまずここでのんびりしねぇか? どうぞ!」

「のんびりかぁ〜、いいなぁ〜、却下!」

「いや却下って、お前それダメな方だぞ!」



「ほう、こりゃまた不可解な花が咲いてるな。この花も風船なのか? あの魚みてぇに破裂すんのかね」

サンジは女性陣のために、目の前の花をいくつか摘んだ。



「ん〜っ、ここなら海軍も追ってこないし! おもいっきり羽を伸ばせるわ! ……ん?」

思いきり伸びをしていたナミが、何かを見つけた。

その足元に、まったりとチョッパーが転がってくる。

「ねぇチョッパー、あれ何だろ」

「ほぇ?」

2人は、前方に見える白い塊へと向かった。

近くで見ると、それは椅子らしき形をしていた。

試しに座ってみる。

「わぁ、この椅子も雲で出来てる! やっぱり雲でモノを作る技術もあるのかしら」

「でもフカフカ雲とは違うな。何かマフっとしてるぞ?」

そこにティオがやってきた。

「しまぐも、ぎょうしゅく、されてるから。そらの、せいぞう、ぎじゅつ」

「へぇ、やっぱりそういう技術があるのね」

ナミが空島の技術に感心している頃、ゾロはようやく島に上がってきた。

「……ったく、雲なのに何で濡れんだよ……お、ちょうどいいところに」

地面に落ちていたフワフワの何かで拭く。

「ス、スゥ!」

「ん? ……うわっ、すまん」

ゾロが掴んだのは動物の尻尾だったらしい。

「何だこりゃ、狐か?」

すると、


"ポロロロン……"


どこからか美しい音色が響いてきた。

ハープのような弦楽器の音だ。

「「「?」」」

麦わら一味は、一斉に音のする方を向く。

「ん? にゃんにょおとふぁ?(何の音だ?)」

ルフィは、どこから見つけてきたのか、ものすごく硬い木の実にかじりつきながら、辺りを見渡した。

「おい、あそこに誰かいるぞ」

ゾロが指さす先には、確かに人影が。

「ま、またあのゲリラか!?」

「ひっ、ふっ、笛は!? また助けに来てもらおう!!」

「いや待て、違う……」

サンジは人影に熱い視線を送りながらつぶやいた。

「あれは、天使だ……」

人影の背中には、見事な羽が生えていた。

「あのひと、ここの、じゅうみん。てきい、かんじない。だいじょぶ」

「ほ、ホントか……?」

チョッパーは、おっかなびっくり物陰から出てきた。

人影が楽器の演奏を終えて、こちらを向く。

「ふふっ、ヘソ」


―――第一声に、麦わら一味は固まった。


 
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