シザンサス

□はじまりの任務
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海軍本部にて。

少女は廊下の窓から、海を眺めていた。

「……」

外見は10歳ほど。

柔らかく白い肌に、深海のような濃い青の瞳。

金色の髪は長く、羽ペンで後頭部に一本挿しで留められている。

ほどいたら腰に届くほど長い。

「……」

窓から見える空は快晴で、少女の瞳とは対照的に軽やかな彩りだ。

海もこの上なく穏やかで、さざ波は子守唄にすら聴こえる。

吹き込む風は、無表情のまま微動だにしない少女の頬を、ひたすら優しく撫でていた。






しばらくすると、少女の元に、准将が1人やってきた。

「ティオ、センゴク元帥がお呼びだ」

少女は無言かつ、無表情に振り返る。

深海のような青い瞳が、じっと准将を見た。

「……っ、何だ」

准将は息を呑む。

子供の外見に似つかわしくない無表情が、何だか怖い。

自分を見つめる青い瞳に、飲み込まれてしまいそうな気がした。


……しかし、そんなことはなかった。

少女の視線はすぐに逸れて、遥か後ろへ飛ぶ。

「!」

気がつくと、金髪が横を通り過ぎていた。

准将は無意識に振り返る。

走り去ってゆく小さな背中には、海兵の証、カモメのマーク。


少女は、ただ風が通り過ぎるように准将の横をすり抜けると、まっすぐにセンゴクの部屋へ走っていった。

 
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