LOVE series


□Liar
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今日も見つけた、







先生の姿。








でも、私が話しかけることなんて








絶対になくて








何もできないまま。









先生は楽しそうに








他の生徒と話してる。








女の子にからかわれて








うるせぇよ、なんて








照れながらまた笑うの。








だって、先生には彼女がいる。









私みたいな子供じゃなくて








きっと綺麗で素敵な人。









たとえ彼女がいたって








私も先生と話したいから








あの中に混ざりたいのに








勇気のない私は、









ただ見てるだけ。









唯一、楽しみなのは








先生の理科の授業。








理科なんて大嫌いなのに








先生の授業だから









真剣に聞くの。








先生に褒めてもらうために








ノートを綺麗に取って。









でも、それだけじゃダメだから









私は卑怯になる。








わざと、分からないフリをするの。









そうすれば、先生は









何気なく、私の名前を呼んで









今のとこわかった?って








聞いてくれる。









本当は頑張れば








できるはずなのに








わざと勉強しないで








赤点を取れば、









また先生は私の名前を呼んでくれて








再試受かれよ、って








言ってくれる。








先生がそう言ってくれるから









私、再試では100点必ず取るの。









おまえ、ちゃんとやれば







絶対赤点取らねぇのにな、って









先生は言うけど、









ねぇ、先生。








ちがうよ







赤点じゃなきゃ、だめなの。








満点取ったらきっとあなたは








褒めてはくれるけど








それ以上がない。








勉強できる子になっちゃったら








授業中の、今のわかった?








が無くなっちゃう。








そんな難しい顔しないでよ、








が無くなっちゃう。








私の名前、








呼ぶ回数が減っちゃう。









そうでしょう?先生。










「最近元気ないじゃん。どうしたの?」









「……、そんなことないですよ。」













もしも、








もしも私が








先生が好きですって言ったら








先生はなんて言いますか?









どんなふうにして









私は振られますか?









そしてそのあとに








私を振ったあとに









あなたが想うのは









あの人でしょう?










「…先生、」








「んー?」












「結婚、おめでとうございます。」












…やっと、言えた。







END.

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