孤高の歌姫

□歌姫の真髄〜シンドリア編〜
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更に数刻後...

一行は王宮内にいた。
シンドバッドは不機嫌そうな表情を浮かべいつもの定位置の椅子に座っている。
一方その向かい側には申し訳なさそうに肩をすぼめて立っているジャーファルがいた。

「勘違いが過ぎるぞジャーファル君」
「...すみません」
「はじめから俺は何もやっていないって言っていたのに」
「......スミマセン...」
「思い込みは良くないぞ!」
「すみま...って根本的なことを言えば貴方が勘違いを起こさせるような事を日頃からしているからでしょう!!」
「うっ...すみません...」
「第一貴方は毎回毎回......」

コンコンコンッ

ジャーファルの説教がまた始まるか、と思えたとき扉が軽く叩かれた。
「入れ」
シンドバッドは助かった、と思い入室の許可を出す。
ジャーファルは説教の出鼻をくじかれ多少不機嫌になるもシンドバッドの右手の方へと移動する。

扉が開き、白い服をきた人が入ってくる。服装と片手に持った紙の束、僅かにツンッ...と漂う薬品の匂いから医療班のものである事が見受けられた。

「お話中失礼します。医療班の者です。例の少女ですが診察が終わりました」
「そうか...それで結果は」
「はい...」
そう言うと紙の束をシンドバッドに渡した。
シンドバッドとジャーファルが同時に覗き込むとそれは診察の結果を表したものだった。

「身体に関してはどこも異常はありませんでした。骨も折れてはいませんでしたし、外傷もありません。臓器等もヤムライハ様に見ていただいた所大丈夫だったそうです。ですが...」
「ですが...?」
ペラペラとカルテを捲っていたシンドバッドだったが医療班の者の言葉がくぐもった事に異変を感じ顔を上げる。
相手は言いにくそうに表情を歪めるとこう続けた。

「その...身体的な傷などは何処にもなく問題はないんですよ。
ただ...精神面に問題が...















実は彼女





















全く_


















"記憶が無い"んですよ」
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