孤高の歌姫

□旅の序章〜シンドリア編〜
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ピイィィ...

「ん...」
シンドバッドは何かを感じて振り返る。しかし後ろには広い広い大海原が広がるばかりで何もない。
気のせいか、と思って目線を戻そうとしたとき目の端に何かが映った。


(...あれは..."岩"!?)



それは岩だった。遠いので大きさは正確には分からないが確かにそれは岩だったのだ。


そしてそれは降ってきたのだ____空から。




驚きのあまり呆然としていると次々と岩は降ってくる。
徐々にその大きさを増しながら__


次々と降ってくる岩に気付いた船員達は大慌てで舵を取る。
あんなのが降ってきたら大津波がおきて巻き込まれかねない。
岩は速度をあげて落下してくる。

シンドバッドも船員達に指示を出す。


ピイィィィィ...!!



(また...またルフの騒めく気配がする...
この...この胸騒ぎは何だ...
どうして俺は"あそこ"に行かなくては
いけないと思うんだ...)


シンドバッドが見据えたのは孤島だった。次々と降ってくる岩の落下点の向こうにある小さな孤島。



そしてシンドバッドは大きく息を吸い込むと船員と部下の二人に向かって言った。

「みんな!!あの向こうにある孤島に行ってくれ!!たしかめたいことがあるんだ」






あの孤島へ...?

だってあそこは危ないんじゃ...

危険すぎる...無理だ!!

そんなことよりも早く舵をきらないと津波が...




次々と船員達は無理だ危険だと言い合う。
その様子を見たシンドバッドは先程よりも口調を強め
「無理を言っているのは十分承知のうえだ。だがどうしてもあそこに行かなくてはいけない気がするのだ。
...大丈夫。お前達はこの俺が..."七海の覇王"たるこの俺と有能たる八人将の二人がお前達を全力で護ろう。
だから俺に力を貸してくれ...!!」

とても...とても力強い言葉だった。
他を圧倒するかのような威厳...
先程まで弱気だった船員達も不思議と意欲が湧いてくるような気がした。

きっとこれが人々を導く王の力だというのか...
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