孤高の歌姫

□記憶の欠片〜シンドリア編〜
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彼女が私の迷宮に来た時にはちゃんと記憶は持っていました。
先程迷宮攻略の副作用、と言っていましたがそれは違います。
元々私の迷宮は特別で"発現する事自体稀"なのです。
だから他のジンとは違い攻略者の腕を試し、魔力や相性などを見て"王の器"を見つける必要はありません。

"私の迷宮に入れた時点で迷宮攻略は完了"していました。
だから彼女に危害を加える気もなかったので道のりも簡単かつ最短なものを用意した…はずだったんです。


事態は違いました。












彼女は精神に酷いダメージを受けてしまったんです…宝物庫に来た時に。



勿論私ではありませんよ。
先程も言ったように危害を加える気もありませんでしたから。

…むしろ"彼女が来るのを待ち望んでいた"くらいです。


でも彼女は毀れてしまった。
それはもう…生きる意味を失い絶望しそして…








堕ちかけた。










あちら側へ…








己の運命を呪う方へと…












だから私は彼女の"とある事"に関する記憶を全て消した。

どうしても私は彼女を失うわけにはいかなかった…。どうしても。
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