孤高の歌姫

□旅の序章〜シンドリア編〜
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クァァァ...

海鳥の鳴き声が響く。
上を見上げれば数羽の海鳥が気持ちよさそうに空を舞っていた。
空はポツポツと白い雲があるだけの晴天でさながら海鳥達が海を泳いでいるようだった。

視線を今度は下にずらすと今度は本物の海が飛び込んできた。

此処は船上。豪奢な造りの客船で、真っ白な帆と国旗がパタパタと揺れていた。

潮風は心地よくその"男"の長い紫の髪をサワサワと揺らした。
男はその気持ちよさにグッと腕を突き上げるとウーンッと伸びをした。


「王サマお疲れですか〜?」


後方から声がしたので振り返ると褐色の肌に白髪の男と甲冑に身を包んだ片眼を赤毛で隠した男が2人いた。

紫の髪の男は伸びをした体勢のまま首だけ二人に向けて言った。

「おお!!シャルルカンにスパルトスではないか。疲れてる...とは俺のことか...?」

そう言うと白髪の男...シャルルカンは腰に手を当てて砕け混じりの敬語で
「そうですよ王サマ。だってさっきまで煌帝国に居たんだし、ずっと気を張ってたんでしょう?もう歳なんだから無茶は効きませんよ」
「誰が歳だ!!俺はまだ30だぞ!!」
「30でも結構な歳だとは思いまs「止めろシャルルカン」
食ってかかろうとしたシャルルカンを甲冑の男...スパルトスが止めた。そして紫の髪の男に向き直ると
「王よ。やはりお疲れのことではないかと思うので船の客室でゆっくりお休みください。何かあったら困ります故...我らが王、"シンドバッド"王よ」

そう言うと紫の髪の男は...シンドバッドは二人に向き直ると腕を組んでこう言い放つ。

「大丈夫だ。問題ない。客室なんかよりもこっちの方が断然落ち着く...なんせ"船乗りシンドバッド"だからな!!!!」
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