NO NAME
□武士→平民
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【突然ですが前世を思い出しました】
その手は赤く染まり気づけば人を殺すことをどうとも思わなくなった。
戦で有る限り敵の兵を斬るのは当たり前で背を向ければ容赦なく切り捨てた。
名のある武将ならそれこそ狙うように斬りかかり怪我を負ってでも勝利を手にした。
命乞いをする兵も若い兵も関係なしに倒し自軍の勝利と国の平和のために戦った。
鬼のようだと民に云われたが国が安定していれば風評など構いわしなかった。
そんなある日だ。
私は嵌められ家臣に謀反を起こされた。
鬼の噂を利用され悪評を広げられ様々な悪事は私のせいにされ城を追い出された。
23才の冬のことだった。
頭の回らぬ腕だけのうつけと思われていた私だからか武力、権力、財力を奪えば何もできまいと何とか命は失わずに済んでいた。
怪我と寒さに死にかけていたその日。
俺は前世を思い出した。
思わず頭を抱えてしまうほどの衝撃だった。
あ、そうだ。
私は学生だったか。
いやいや、今は一介の武将…ではなくなったのか。そういえば何で死んだんだッけ。
殺されたのか?車にはねられたのか?
はたまた自殺でもシタンダッタカ?
うまく思い出せないが辛いばかりの人生ではなかったはずだが何故わたしは男になっているのか別人として生まれたのか。
いや、武将の私は今死んだのだ。
これからは新しく生まれ変わった気分で生きてやろうじゃないか。
ならばこんなところで倒れている場合ではない。生きねば。