自由館

□小太郎の話
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@風魔小太郎?いやいや違いますけど?
もと女子高生が戦国乱世に男として転生し伝説の忍だと勘違いされる!?

そんなドタバタ人生開幕!!
「だから!人違いだってば!」
少女の叫びが心の中でむなしく響く!



私の名前は小太郎!前世の記憶を覚えている。記憶の中の私は平凡な普通のふ!つ!う!の女の子だった。
ちょっと腐ってはいたけれど恋に青春(二次元)に普通に生きていたちょっとお馬鹿な平凡少女だった。

が、ある日私は死んでしまったのだ。
詳しいことは覚えていないが確かに私は死んだ。前世の体から大量の血が流れていくのを見た。

というわけでそんな平凡な人生におさらばしてしまった私は何をどう間違ったのか男として生まれ変わった!(何故女である前世の記憶を残したんだ!!)正直男の体になれるまでに時間はかかってしまったがもどかしかった赤ちゃん時代が漸く終わりやっと自立できると喜んだのは僅かな時間だけだった。

幼子としては可笑しいだろうと言葉も立つことも人前では避けていたというのに何と大人にはバレていたらしい(なんてこった!)

案の定、気味悪がられるわ育児放棄気味になるわで散々な訳だ。けどこっちだってある程度成長していた記憶が在るわけだ。

食べれる野草を食べ時には可哀想だが動物を倒して肉を食べた(野菜だけじゃ生きていけぬ!)まさか、二次創作の為に蓄えた知識がこんなところで役にたつとは…(おかげで毒のない安全な野草を食べることができた)

そんな生活をしている私はすっかり野生児である。さすがに汚いのには耐えられないので(もと女子高生!)川やらで水浴びしたり時に火を自力でおこしお湯を浴びた。
なので、見た目だけは小綺麗な状態を保っている。

この頃には家に滅多に帰ることが無くなっていた。

それから漸く四季が片手を越えるほどに巡った頃。1年半ぶりくらいに家に帰ると父が死んだと聞いた。戦に出たのだそうだ。

戦がどーとか噂くらいは聞いていたが身内に被害があるとはこれはとうとう無視は出来ない戦。父が徴兵された…。

ふと考えたがただの農民であったはずの父が呼ばれたということはまだ兵農分離とやらはされていないのか?とここで衝撃の事実に行き当たった。

アレ?確かに前世の私の世界よりは昔だとは思っていたが(着物とはいえ精々田舎だからちょっと型が古いのだろうと思ってた)もしや400年以上前のしかも戦国時代…?そんな考えに行き当たった私は冷や汗が止まらない!死亡フラグじゃねぇか!思わず誰かに叫んでやりたくなった。

ヤバイこのままじゃ私も死んでしまう!とその日から自身を鍛えることを心に誓ったのだ。

その頃から私は母の暮らす家と山を往復するようになった。

昔は(といってもそれほど経ってないが)私を気味悪がっていたがちょこちょこ私の運ぶ野草や毛皮果てには花を贈っていた努力が幸をそうし、母性が目覚めたのか和解することができた。

「おや、小太郎何処さ行くだよ?」
「山さ行ってくる」
「気をつけていくだでよ」
「あいさー」

家を出るときに見つかった母に声をかけて早速森へと入る。

人の通れないような獣道もターザンに憧れてやってみた木づたいも上手く走り回れるようになった。

鬱蒼とした森のとある中腹あたり私は声を張り上げる。

「森のくまさんやーい!」

それと同時にがさがさと揺れる背後の草木。突然降り下ろされる鋭い爪をばく転することで避ける。

「来たな!熊五郎!」

どんな動きにも対応できるように構える。
(前世の私じゃ絶対にできない熊相手になんて無理ゲー)しかし私は学んだのだ!この世界の人間は普通よりも頑丈で強い体をしているのだと!なんてったってこうやって私みたいな子どもが熊と戦えるからな!

そして今対峙しているのはこの間も戦った熊だ!名前は今適当につけた!今回こそは倒す!のっそりとてをつき此方を睨むその風貌は顔の傷によるものか中々に恐ろしい。初めてあったのなら多分逃げてたってくらいにはこわい。なんたって目線がほぼ同じ向こうは手をついているっていうのに!内心で立つなよ〜立つなよ〜と願いながら眉間に向け石を投げる(熊の急所は確かそこだったはず!)。

その石は上手いこと眉間に当たり熊が悲鳴をあげるその隙をみて私は熊の背に飛び乗り背負っていた首切り包丁を熊の首に添える。

「ごめんね」

ごとり、力なく首なき熊は崩れ落ちた。

「さー今夜は熊鍋だべー!」

そういいながらその場で熊を処理し始めた私は慣れたものだと空を見上げた。

熊の血を浴びてすっかり血生臭くなった私は捌いた熊の肉と毛皮を持って川へ向かった。


ちょっと小高い岩場の上。
その下はそれなりに大きな川が流れている。軽く柔軟をして体を解す。

「せーの、いよっしょぉー!」

ドバシャーン!

掛け声と同時にその場から跳んだ。
「っぷは!」
それからすぐに水から顔をだし川岸へ。
それから熊の肉と毛皮を持ち出し綺麗に洗った。

「フンフンフーン♪」

適当な音をつけて鼻唄を歌いながらゴッシャゴッシャ洗う。特に毛皮は血を落とすためにしっかりと。それらが終わったら今度は自分で、また水の中へと飛び込んだ。

「ウヒョホーイ!」

1人でバッシャバッシャと泳ぎ満足いったところで服を脱ぐそんでまたゴッシャゴッシャ洗う。臭いも落ちろー血も落ちろーと念入りに水の中で洗う。

だいたい満足いったら今度は頭をゴシゴシ洗う体もついでにゴッシャゴッシャ洗う。

だいたい熊の血を落としさっぱりしたところで川岸へ戻り、犬のように頭を振るう。

そんで温かい風がふけーと念じるそしたら本当に吹くので着物やらなんやらと一緒に乾かす(毎回念じると吹くので一種の才能だとおもうんだ!)←実は婆沙羅。

そんで色々したらだいたい日が暮れてくるので家に帰る。

「ただいまーおかん!今日は熊鍋やで!」
「ホンマか!さすが小太郎やな!」


何て言って母と熊鍋食べて一日が終わる。

そんな風に平和な日々を送っていたらある日突然そんな日々が終わる。






「お兄さん、誰や?」
いつものように森の中を散策していたら(鍛練とも言う)真っ黒な服の俗に言う忍者っぽい人に出会した。

そしたら何かしらんが捕まった。
「何やねん!あんた人さらいか!」
なんてばったばった抵抗してたらクナイを首に突き付けられた。
「いやん。冗談やんか…」
なんて言ったが内心わ大騒ぎでやっべついに死亡フラグの回避不可能か!?
とか思ってたらその忍者さんが言うやないか(似非関西弁が今ブーム←)。
「貴様、婆沙羅者か」
と、どこか聞いたことのある言葉を。
ばさら?バサラ…BASARA?
ふと前世ではまっていたスタイリッシュ戦国ゲームを思い出した。
「戦国BASARA?」
思わず口に出していってしまったが聞き間違いでなければ忍者さんは私のことを婆沙羅者かと聞いたではないか。
え、ちょっと待って私、婆沙羅者?
もしかしてなんか使えんの?マジで?ゲームみたいな技使えるの?なんて1人で困惑していると忍者さんの手に力がこもった。
「答えろ」
そんなこといわれても!
正直知らない。むしろ今初めて知った。というかもしこの世界がバサラならキャラがいるってことか何ソレみたい。
とりあえず今キャラの年齢は知らんが見るだけでも見てみたい。うはー。
とまた思考が飛んでいると頭を叩かれた。
「おい!」
忍者さんは苛立っているようだ。
ここは早く答えよう。
「すんません。あのとりあえず婆沙羅者ってなんですか?」
間違っていたら嫌だしと思って一応聞いて見た。そしたらお兄さんが一瞬の訝しげな顔をしたが親切に教えてくれた。
そんで、こういう力だと実際に見せてくれた。忍者さんはどうやら炎属性らしい。
思わず目をキラキラさせてすげーすげー言ってるとお兄さんは満更でも無さそうだった。
「そんでなんでお兄さんは俺にバサラがあると思ったの?」素直に聞いてみたら。
「風の吹く方向へ向かって進んだら
貴様がいた。ここへ近づけば近づくほど強くなった風がお前の姿を見たとたんおさまったのだ」
という。マジでか。ってことは私の属性は風?「えっと…じゃあ仮に俺が婆沙羅者としたらお兄さんはどうするつもりで?」
「里に連れ帰る」「は?」あまりに真面目に答えられて呆ける。
「里?え、どこの?」「俺の住む里だ」
「そこで何を?」「決まっている貴様を立派な忍にする」「いや、帰るとこあるんで」てなわけで説明するときに離してくれたのをいいことにダッシュで逃げる。「あ、待て!」とか背後から聞こえるが私はきこえない!
この森は私の庭だ!とばかりに縦横無尽に走る抜き飛んで跳ねて時に潜み忍者のお兄さんを出し抜いた。

危ない危うく変な人に死亡フラグを突き立てられる所だった。と汗を拭った。
そのあと多少森で遊んでから帰った。
一応、気配には気をつけながら。


そしたら、家が赤く燃えていた。
「…っ!おかん!」
私は思わず家のなかに飛びはいる。
「おかん!どこや!」
熱い、パチパチと焼ける音が天井すら壊していく。見えない母の姿に焦る。
「返事せぇ…っ!」
焦りながらも辺りを注意深く見回し耳を潜める。
「小太郎…?」
すると小さい声が聞こえた。そちらへ急いで顔を向ける。そこに倒れた柱に下半身をやられた母がいた。
「小太郎っ…早く逃げなさい…!」
そういった母にてを伸ばしたが柱が倒れてきて近づけなかった。火に囲まれ母に近づけそうになかった。
こんなときに婆沙羅が上手く使えたら…っ!そう思ったが土台無理な話で口を噛むしかない。
「お母さんっ!」今の私には助けられないと悲痛な叫びになってしまう。
「小太郎!早く家を出て!貴方は…っ!貴方だけは生きなさい!」
母も叫ぶ。ガラガラと音を立て家はどんどん崩れていく。母のいた一角が崩れた。母の声はもう聞こえない。
私の顔は泣きそうに歪んだ。なんだかんだ私をこの世に産んでくれた女性を私は愛していたらしい。ちゃんと親愛の情をもっていたらしい。

あぁ、なんて無力なのか。
一度私は拳を地に打ち付けてその場からダッシュした。さっきまで使えなかった風の婆沙羅が私の周りに吹き荒れて炎のなかに道を作り出し私は無事に脱出した。

気づいたら私は森にいて大きな幹に身を寄せ踞っていた。

「おい、餓鬼。」
そんな声が頭の上から聞こえた。
顔を上げたら昼間に会った忍者のお兄さんがいた。ふと考え付いた考えに一瞬思考が止まる私の口からは疑問がこぼれた。
「まさか…あの火事お兄さんの仕業?」
光のないだろう目(半目)でお兄さんを見ると肩をすくませ息を吐いていた。
「違うなあの火事に俺は関与していない」
忍者のお兄さんは感情の読めない顔でそう言った。「じゃあなんの用ですか」
なんとなく言いそうなことはわかったが私はあえて聞いた。

「ついてくるか?」
お兄さんはソレだけいった。私にはソレだけでわかった。忍になるのかどうか今この場で決まる。少しだけ迷って着いていくことを決めた。
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