書殿
□帰還
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......朝か
目を開ければ何処か懐かしい天井。
ああ、そうだ
久しぶりに自殿に帰ってきたのだ。
ここ数年間、責務に追われていた。
責務という使命。
あまり居ることはないにしても、流石にここまで帰らないことはなかった。
───どれくらい寝れたのか
綾美が責務を終えた頃は、たしかもう真夜中であったはず。
まあ、4時間ほどと言ったところか。
両手を真上に上げ伸びをする。
まだ完全に覚醒仕切っていない彼女の頭が、徐々に朝の光を捉えていく。
眩しい
朝の光を浴びたのも久しいように感じた。
綾美はスッと立ち上がると、そのまま浴室へ向かった。
夜中に帰ってきてすぐに寝てしまったため、またまた久しい朝風呂である。
衣服を脱げば、傷ひとつない純白の肌
腰より長く伸ばした美しい銀髪
鏡に映る自分に手を伸ばす
無表情で立ち尽くしている女がそこにはあった。
何かを訴えるわけでもなく
唯、立っているだけ
まるで人形のように