書殿

□苦受
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隊長格が全員揃った一番隊。

皆の視線が綾美に注がれる。



女にしては少し高い身長

銀色の髪を垂らし

右目はサファイア、左目はアメジストの輝きを


恐ろしい程に生気を感じない人形のような彼女から、皆は目を離せずにいた。










「揃ったね。さっき七緒ちゃんから伝えてもらった通りだけど───」


沈黙を破ったのは京楽春水。

副官の賢そうな女から皆聞いているらしい。
天挺空羅か。

そして、目で綾美に自己紹介しろと促す。




『鳳...綾美......』



その名を聞いて、知らぬ者などいない

四大貴族に肩を並べる程の流魂街の良家。

"鳳“




「───?」

"六"を背負う者が困惑の表情を浮かべる。

春水を見やるも、かすかに首を傾げるだけで、彼もまたこの疑問を解けずにいることがわかる。

彼らにとって鳳は身近なもの、だった。


「──鳳は滅びたはず」

綾美に鋭い視線を向けたのは、朽木家当主である朽木白哉。

『......』

綾美は答えない

人形のように整った顔は

何一つ感情を示さない


「名前なんてどうでもいいヨ、君は何者だネ?」

マユリが興味ありげに問う。
やはり彼女は答えない。


「それがねェ〜僕も良く知らないのよ〜」

おちゃらけ具合で春水が言うも、張り詰めた空気を緩めることは出来なかった。

ごっほん
と態とらしい咳をすると、春水の砕けた顔は一瞬にして無に戻った。

「皆が知らないのも無理ないさ....僕だって昨日聞いたばっかりだ」
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