ドラクエ11s
□火の里と砂漠の国と貿易港
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「弓と魔法か・・・」
ベロニカの脳裏に。
前衛のイレブンとカミュ。
後衛の自分とセーニャの間に立つ、ユーリの姿が浮かんだ。
「うん、よし!
セーニャを守ってくれてありがとう。
そして良かったら、あたしたちとこの迷宮の件を解決しない?」
いきなり誘い出したベロニカに。
ユーリもセーニャも目を瞬かせたので、カミュはこの地下迷宮まで赴いた経緯を説明する。
元々はベロニカの依頼で妹を捜しに来たが。
里で起こっている行方不明事件に父親が巻き込まれて独りになってしまった小さな女の子を、放って置けなかったという。
「このチビちゃんが。
その子の父親に覚えがあるってんで・・・
セーニャ捜しの次いでに、その件を解決しようって事になったんだ」
ベロニカは蒸し風呂で攫われたと言う。
そして何とか脱出して里に着いてみたら、今度はセーニャが「姉がいる気がする」と地下迷宮へ向かったと。
「・・・普通、こういう観光地での事件は。
里の自警団とかが、対処する案件ではないのかしら?」
「デルカダール王国とかの。
軍がいればそうだろうがなぁ・・・」
里の人々の話を聞く限り。
ロトゼタシア全土に信仰されている命の大樹≠ナはなく、雄大な火山におられる火の神≠祀る巫女を信じ、里の守り手として神格化されている。
里の治安を守る自警団はあるが。
魔物と戦える力はあるかと言えば微妙らしい。
良質の鉱石が取れる山々のお陰で鍛冶業が盛んの割に、戦士の育成が苦手なようだと。
己の観察の結果だとカミュは説明した。
「まぁ・・・魔物と戦える人って。
実は少ないって実感する話ですよね」
「そうね。
厳しい修行で有名なドゥルダから来たあんたから見れば、ホムラの里が心配になるのも無理ないわ」
と言ったベロニカにユーリは深く頷いた。
ドゥルダ郷の修行は格闘技が主であるが。
古の勇者の仲間になった、稀代の魔法使いウラノスを排出した場所でもある。
己の中にある才を探して高めるため、様々な戦いの術≠ノ精通する師匠やその弟子たちが沢山いるのだ。
故にドゥルダ郷の自衛能力は高い。
「で、あたしたちと来る?」
「もちろん。
乗りかかった船だもの」
ユーリは一行の同行者となった。
そしてこの先にいるであろう事件の黒幕を倒すべく、膝を突き合わせて互いの戦力を確認しあった。
そしてイレブン、カミュの自己紹介と。
ベロニカが幼子になってしまった経緯を聞くのも忘れない。