ドラクエ11s

火の里と砂漠の国と貿易港
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ダーハルーネの町




「まぁ、この風の匂い・・・
 懐かしく感じますわ」


キメラの翼で飛んだ先は。
陸路におけるダーハルーネの入口だった。
湿原と隔てる崖をくり抜いて作ったトンネルが、額縁効果となって商いの賑やかさと港の爽やかな雰囲気を際立たせていた。

ユーリが生まれた世界でいう。
水の都ヴェネチアのような町並みで、いたる所に水路が張り巡らされ、移動する際には小舟を使うところも同じだ。

こういうテレビで観た景色が。
ユーリの中に残っている郷愁を癒やしてくれる。


「ここが貿易で有名なダーハルーネか。
 沢山の金持ちや商人が行き交う、世界で一番デカい港らしいぜ」

「そうなんだね」


デルカダールとサマディーとホムラ。
三国とも建築様式も町並みも全然違う、初めての港町にイレブンも目を輝かせる。


「そんな町で自分の船を持ってる。
 シルビアさんって、もしかして凄い人なんじゃ・・・?」


と呟いたベロニカに。
ウフフッと小さく笑ったシルビアは、


「余計な詮索は野暮ってものよん?
 アタシの船ちゃんは、ここから北西にあるドックの中でお休みているの。

 さっ! みんな行きましょ〜!」


ドックとは。
船の建造や修理、荷揚げ卸しなどに用いる設備や施設のことだ。

シルビアがいつ寄港したのかは判らないが。
日数分の滞船料が発生している筈で、その費用があるという事だ。
ベロニカの言う通り、凄い人なのだろう。
真に謎多きオネエさんである。

元は小さな港町だったらしいダーハルーネは。
町の規模が大きくなる過程で、沿岸へ拡がっていったと聞く。
ドッグを設けた場所もそこだろう。


「さぁさあこちらのお野菜は〜!」

「こちらの壺は〜!」


遥か先にある円形舞台を繋ぐ大通りでは。
色鮮やかな露店が左右にあった。
各地からやって来た商人か、はたまた機会を掴むための個人の持ち寄りか。


「サマディーから来た方々〜!
 これからの船旅にどうですか〜!」


イレブンたちは顔を見合わせた。
キメラの翼でやって来たから、服も砂漠の民のままだった。
これでは目立つだろうとシルビアが先導して、服屋に赴いて着替えさせてもらった。
勿論、礼として商品を買うことも忘れない。

袴に着替えてきたユーリを見た店員が。
絶対に似合うと断言したストールを進められて、それを購入した。
もしどこかの町で一休みの機会があれば、これを羽織って散策しようかと思う。

いつもの服に着替えて。
どこかホッとしたような顔をした女子たちは、先に店を出た男子たちと合流する。




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