ドラクエ11s
□火の里と砂漠の国と貿易港
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魔蟲の住処
「騙すことは罪であると理解していました。
ですがファーリス様が頼られるのは、傍にいる私たちしかいない・・・」
全てを知る自分たちの誰かが・・・
国王へ報告すれば良かったのかも知れない。
だがそれは、王子への裏切りになると考え、今日まで至ってしまった。
と、王子付き騎士たちを束ねる隊長が言った。
「我々は貴方様を・・・
戒めるべきだったのかも知れません。
忠誠とはただ、主の命に従うだけという事ではありませんのに・・・
申し訳ありませんでした」
騎士たちは片膝をつき頭を垂れた。
右拳を胸に当てた騎士作法の敬礼と、片膝を着くという最も深い謝罪の礼を受けて。
ファーリス王子は、戸惑ってオロオロしている所に・・・
イレブンたちがやって来た。
「お前たちの気持ちは解った。
ボクもこれまで色々と済まなかったな・・・
今回を期に、ボクは変わりたいと思う。
ボクはボクなりの王子≠、国民に見せていきたい。
これからも・・・
ボクの傍にいてくれるだろうか?」
何やらお取り込み中であったが。
良い雰囲気で終わったようでよかった。
王子と騎士たちが握手する姿を見て、イレブンたちはそう思った。
笑顔の王子はこちらに気付いて、
「よし、揃ったな、紹介しよう。
討伐を手伝ってくださる旅人の皆さんだ」
討伐に参加する騎士たちに。
代表の剣士のイレブン、短剣使いのカミュ、魔法使いのベロニカ、癒やし手のセーニャ。
弓使いのユーリとひとりひとり、丁寧に紹介した。
そして彼らは国王から。
討伐の手伝いを依頼された形なので、くれぐれも失礼のないようにと言った。
「砂漠の殺し屋≠ェいる魔蟲の住処は。
西の要塞を抜けたバクラバ砂丘の一番奥だ。
まずは野営地を目指そう」
今回の討伐は砂漠の治安を守るだけでなく。
サマディー王国は大物の魔物を狩ることができる戦力がある、という事を観光客に見せつける意味合いもある。
倒した魔物は霧散するが。
どういう理屈なのか、獣系ならば毛皮や牙など素材として使える物を残す。
砂漠の殺し屋≠ヘ蠍系のため甲殻を残すことが予想され、それを持ち帰るための荷台も用意された。
4頭の馬が引く大きな荷台だ。
そこには天幕などの野営道具、水に食料などが積まれている。
帰りはキメラの翼を使うため片道分のみで、軽くなった荷台に甲殻を乗せる計算だ。