ドラクエ11s
□白い町と亡国の面影
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逃亡先
「うぉおお!?」
「あ・・・!
夜分にすみません!」
キメラの翼を使って飛んだ先は。
ソルティコの町だった。
デルカダール領にあるロトゼタシア唯一の保養地であり、外海へ通じるソルッチャ運河を仕切る大水門を領主が管理している。
キメラの翼を使うマナーとして。
町の入口に現れるものの、警備していた騎士たちを驚かせてしまった様だ。
ユーリたちはびっくりさせたのを謝りつつ、大水門橋を渡って町中へと入ったところで。
シルビアがぽつりと、
「・・・不思議なものね。
この町には二度と来るまいと思ってたのに、まさかこんな風に帰ってくるなんて」
ユーリが発案したプランその2=B
もしイレブンとカミュが見付かってしまった場合、この町へ逃げると決めたその理由は。
イレブンたちを取り逃した上に。
どこに逃げたのか不明の中、仕切り直しと一度ホメロスたちがデルカダール城へ戻る可能性も考えての事であるし。
ソルティコ海岸には港があり。
そこから商人の行き先だというバンデルフォン地方がある内海へと行ける、というのもある。
「ユーリ。
こうなるってわかってたの?」
ユーリが念のためと用意した。
プラン2を使うという状況に陥ったイレブンたちは、まるで予期していたような周到ぶりに驚いた様子だったので。
「いや、本当に念のためだったよ。
まさか使うとはね」
ユーリは改めて説明する。
町長宅でも言ったが、何事も計画通りに行かない事の方が多いと聞くし、プランを幾つか用意しといた方が身動きが取りやすくなると。
そのもしものプランで助かったイレブンたちが、真の意味で納得したところで。
サマディーから色々とあったので。
この際に町で、ゆっくり休んではどうだろうかとシルビアが提案した。
「・・・いいんですか?」
「いいのよ」
気遣うように訊いたユーリ。
そういえば彼女は、己の父・ジエーゴと知り合いだった事を思い出したシルビア。
亡き母に似たこの顔を見て「ソルティコで見た気がする」と言ったので、記憶力も良いのだろう。
もし領主館に行ったら気付く筈だ。
美女の肖像画を見て。
傍にいるシルビア≠ェゴリアテだと。
「・・・シルビアさん。
何でこの町を避けてるんですか?」
ユーリがそう静かに問うた。
イレブン、カミュ、ベロニカにセーニャもシルビアをじっと見つめる。
「詮索は野暮よん。
と言いたいところだけど・・・
黙っているのも、流石に無理そうね」
父と大喧嘩の末に家を飛び出し。
町に滞在していたサーカス団に転がり込んだのが十数年前。
時が立つのが早いと思うのは何度目か。