ドラクエ11s

火の里と砂漠の国と貿易港
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「すまない!!
 本当に知らなかったんだ!!

 この通りだ! 許してくれ!!」


5人の旅人たちに。
国王、王妃の立場にいる両親と、近衛騎士たちの目の前で土下座して謝り出した。
サマディー王国のたった一人の王子様。

大樹の枝と思われし虹色の枝≠ヘ。
今年のファーリス杯の資金にすべく、行商人へ売ってしまったと国王から告げられたのだ。

イレブンに虹色の枝≠ェ渡るよう。
国王に掛けあうと約束したのに、肝心の枝がもうサマディー王国に無いのだ。
イレブンは依頼を成し遂げたというのに。

良心が限界に達したファーリス王子は、


「父上・・・母上・・・
 私の話を、聞いて下さいませんか」


王子の懺悔はなかなか辛いものだった。
口八丁、直に見れないのを良いことに、皆を騙していたのかと糾弾するのは簡単だ。

でも、そんな王子を。
ここまで追い詰めてしまったのは・・・


「・・・顔を上げよ、ファーリス。
 わしたちはこれまで、等身大のお前を見ずに、見合わぬ重圧を与えていたようだな。

 謝らなければならないのは。
 わしらの方やもしれん・・・
 これからは考えを改めようとしよう」


どこか距離のあった親子が。
和解したことで良い雰囲気に纏まった。

タダ働きされたも同然のイレブンの表情は。
穏やかながら、その眼差しはどこか遠くを見ている様でもあった。
故郷を思い出しているのかもしれない。


「だが、騙していたのは罪だ。
 お前には罰を与えねばならぬ・・・」


それはまぁ、そうだろう。
罪を犯したならば償いをしなくては。

で、その罰とは・・・
砂漠の殺し屋≠討伐、という難題だった。
脚をガクガクさせる程の怯えを見せる息子に、国王はイレブンへ体を向けると、


「すまない事をしたな、イレブン殿・・・
 だが、恥を承知で頼みたい。
 ファーリスを手伝ってやってはくれまいか」


乗馬はできない。
魔物と戦う訓練はしていない、臆病でヘタレなのは百も承知!
と息子をこき下ろした国王は、


「どんな形でもいい。
 手伝ってもらいながらも何か、自分の力で成し遂げたと思えるような経験を・・・

 今の息子には必要なのだ!」


父の愛を感じさせる言葉だった。
カミュ、ベロニカ、セーニャ、ユーリは、自分たち一行の代表者へ目を向ける。


「イレブン、どうすんだ?」


代表してカミュが訊ねた。




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