ドラクエ11s

火の里と砂漠の国と貿易港
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「デルカダール兵がちらほらいるわ。
 物々しいわねぇ」

「仕方ないわよ。
 悪魔の子と脱獄囚を捕まえるためよ」


観光客だろう、不意に聞こえた。

ユーリたちは極力。
そういうのは聞き流して、コンテスト会場である飾られた円形広場へと歩いて行くと・・・
近付くにつれて見物人たちが多くなる中、それらを見下ろすように誰かがいた。

日光に照らされて少し眩しい。
白銀の鎧を纏い、括った長い金髪を靡かせる見目麗しい男がいた。


「あ、ホメロスさんだ」

「そりゃまぁ・・・
 そこにいれば見渡しやすいわよねぇ」


ホメロスがそこにいる意図を。
理解したシルビアがそう言った傍で、ベロニカがホメロスを観察して思った。
特注の上半身の鎧から判る実用的な筋肉、秀麗なお顔に年上で強くて背が高い人だと。

ユーリの理想のタイプとの事だが。
当の本人は知り合いを見つけた程度の反応なので、やはり条件で人を好きになる訳ではないのだろう。


「おや、そちらのお兄さん!
 そんな男前なのに見物とは勿体ない!
 ぜひコンテストに参加してください!」

「あらまぁ。
 どうしましょうか」


関係者だろう中年男性が。
そうシルビアを誘っているのを聞き留めたのか、ホメロスがそんな彼らに目を向けると。

10代に見えるが20代という。
自身がデザインしたと言った服を着た、自立心が高い女性のユーリがいた。
服装から旅芸人だろう美麗な顔の男と、金髪の少女と幼子が傍にいる。

デルカダール城下町で会った時は。
一人旅と言っていたが、仲間ができたのかと安心したところで、ホメロスは仕事に戻る。


(我が国の領地にあったあの祠は。
 ホムラの里領地へと繋がっていたと知り、すぐにこの町へやって来てはや数日・・・
 連絡船の出入りは確認し続けているが、イレブンとカミュらしき男は見つからず・・・

 まさかもう海へ?)


そもそもあの2人は。
キメラの翼を使えるのかそうでないのかも判らないのは、マズイのでは?
キメラの翼は文字通り魔物のキメラから採れる移動呪文(ルーラ)効果のある道具で、キメラが分布しているサマディー王国には当然売っているだろう。

もし、使えたら?
考え出すとキリがないが、ドッグ閉鎖という期間内は人捜しには好都合だ。

だが今日で最後でもある。
ギリギリまで連絡船の人の出入り、この町中を確認しようとホメロスは結論づけた。


「あのー。
 そろそろ・・・」

「あ、すまないな」


コンテストが始まる時間か。
と悟ったホメロスは、広場から下りた。
そして何事もなく時間が過ぎて――

夜になった。




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