ドラクエ11s

火の里と砂漠の国と貿易港
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「さてと・・・
 どうやってホメロスちゃんたちの目を掻い潜って、イレブンちゃんとカミュちゃんをアタシの船まで連れて行くかよ」


イレブンとカミュは町長宅で匿われている。
ホメロスも流石に悪魔の子≠ニ、その脱走者がそこにいるとは思わないだろう。
息子の件で恩を感じた町長を交えて話し合った。

結論は今夜、暗夜に紛れて出港となった。
夜になれば人通りも少ないので、巡回する兵も疎らなるとのことだ。
念のためにと主張したユーリの発案、プランその2も用意しといた。
事の詳細を船の管理を任せているアリスという人物に説明すべく、シルビアが善は急げと、


「アタシが戻ってくるまで。
 待っててちょうだいね。
 あなたたちは、魅力的な女の子なのを忘れないように」


と言い置いて出ていった。
女子3人は顔を見合わせるとベロニカが、


「もう、シルビアさんったら。
 過保護なんだから」


その後、シルビアと女子3人は。
勇者(イレブン)盗賊(カミュ)とは何の関係もありませんよ?と他人のフリをして、4人で町へと繰り出した。


「まぁ・・・
 すっかりコンテストの雰囲気ですわね」

「や〜ん、ロマンチックじゃない♪
 もうすぐあのステージに、イイ男たちが勢揃いするのね♡」


大通りの脇を流れる水路。
それが一種の区画線の役割もあるのだろう。
町長宅があるのは住居区画だが橋を渡るだけで、もう賑やかな声が聞こえてきた。

もうすぐコンテストが開かれるのだろう。


「楽しみですね!」

「あれ、ユーリさん。
 こいうコンテストに興味あるの?」

「ある。
 素敵なお顔と実用的な筋肉に」

「実用的な筋肉ってなぁに?」


不思議な言葉にシルビアがそう訊くと。
ユーリが説明しだす。

自分の生まれ故郷にも。
肉体美を競う大会があり、それはもう凄い筋肉を持つ殿方ばかりだった。
だがあくまで見栄えのいい筋肉≠フため、違和感や不自然さがあったと。

自分が持つ美的感覚は、それは美しくない。
と断じたが、職業による実用的な、例えば剣士だったり武闘家だったりの筋肉は、無駄のない実用的で美しい筋肉だと思ったと。


「なるほどねん。
 実用的な筋肉ってそういう」


たまに聞く生まれ故郷=B
ユーリも何か事情があって、その故郷ではなくドゥルダ郷で暮らしていたのだろう。

表情には悲壮感を感じない。
でも何だろうか、思い出を語るような雰囲気を彼女から感じるのだ。
単純に引越して来ただけかもしれない。


「素敵なお顔と実用的な筋肉。
 を持つ殿方が、ユーリ様の好みのタイプなのですか?」

「そうだね。
 あとは年上で優しくて強くて背が高い人」

「理想たっかい!」

「まぁ あくまで理想だから。
 実際は好きになった人≠ェ理想になるんだと思う」

「なかなか深いわね」


生まれ故郷とはどこなのだろう。
とシルビアはまた思った。




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