外殻大地

チーグルの森 ‡ タルタロス
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「無事でいてくれると・・・」

「それならセントビナーへ向かいましょう。
 アニスとの合流先です」

「セントビナーって・・・」

「ここから東南にある街ですよ」


とイオンが答えた。

セントビナーでルークが思い出したのは。
本に書いてあった、


「確か城砦都市なんだよな?
 でかい樹がシンボルの街で、そこでしか生えない植物がある・・・」

「おや?
 なぜあなたがそんな事を・・・」


軟禁されており。
外界から切り離されていたルークが、なぜマルクトの街の事を知っているのか。

とジェイドは気になった。


「それもステラさんの本に載っていたの?」

「うん」


とティアに頷いた。


「ステラの本?」


訝しげに片眉を上げたジェイドに。
ルークは何日か前にティアに説明した、ステラ著の旅行記の話をした。


「あなたは本当に・・・
 ルークを可愛がっているんですねぇ」

「・・・今の間は何?」


意味ありげな言葉に。
ステラはジェイドを半眼で見た。

ブラコンとでも言う気だったのか。


「ところであなたは・・・」


イオンが金髪の青年に目を向けた。

ルークとステラの友人らしき。
腰に細身で湾曲した剣を差した、黄色を基調とした身軽な旅装の彼は?


「そういや自己紹介がまだだっけな。
 俺はガイ、ファブレ公爵のところでお世話になってる使用人だ」


ガイはそう自己紹介すると。
微笑んでイオン、そしてジェイドと握手を交わした。

最後にティアが近付くと。
「ひっ」と跳び退かれて、


「・・・何?」


ティアは首を傾げた。

そういえば彼はそうだったと。
ステラはあちゃーとばかりに額に手を当て。
ルークはまたかというように、


「ガイは女嫌いなんだ」

「・・・というよりは女性恐怖症のようですね」

「ジェイド正解」


「わ、悪い・・・
 キミがどうって訳じゃなくて・・・
 その・・・」


ガイの弁解に。
「私のことは女だと思わなくていいわ」と、ティアは優しく言っだが・・・

近付くとガイは逃げた。
一歩一歩近付く度、彼も一歩一歩下がる。
終いにはガクガク震え始めたので、




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