腹黒王子と毒舌王女
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「体育館は簡単で、あちらがお手洗いです〜。ボールはこちらのをご用意してますので、ウォーミングアップの際にご自由にお使い下さいね。」
「はい」
「試合後、お着替えになるならあちらの更衣室をお使い下さい〜。あと、ドリンクですが…」
「ドリンクはこちらも用意してます、お水さえ頂ければ…」
「あ、はい、では私も作りますので後で一緒に行きましょう〜!」
烏野が靴を履き替えている間に大方の説明をする。
烏野のマネージャーが綺麗すぎて見惚れてしまう程だった。
烏野は見た目が怖い人もいるが、主将はとても丁寧な対応だった。
全員が履き替えるのを待っていると影山が話しかけて来た。
「お前、なんでマネージャーなんかやってんだよ」
「うーん、半分無理矢理やらされたものだけどね〜…」
「影山、知り合いなのか?」
「あ、ハイ。中学の同級生です」
「ね〜!…あ、今から体育館入ります〜。ボールに気をつけて下さいね〜」
ニッコリと笑い、扉に手をかけて思い切り開けた。
「岩泉さーん!烏野の皆さんが到着されました〜!」
扉を開けて声を張ると、練習していた手を止め、入り口を見た。
端に避けると、烏野の主将が声を張った。
「挨拶!!」
「「「お願いしあーす!!!」」」
「「「お願いしあーす!!!」」」
岩泉筆頭に挨拶を返し、ウォーミングアップが始まる。
ドリンクのボトルを持って烏野のマネージャーに声をかけた。
「あの、ドリンク作りに行きませんか〜?」
「ああ、はい、お願いします」
烏野のマネージャーは清水さんと言うそうだ。
清水さんは3年生だと知って納得。
元々綺麗な人が3年になると磨きがかかるのだと思った。
「清水さん、マネージャーって楽しいですか〜?」
「うん、楽しいよ。ちょっと問題児が多いけどね」
「私も楽しくなるといいな〜」
「青城のマネって大変そうだね、人も多いし」
ふわりと笑うその笑顔に思わず見惚れる。
自分もこんな綺麗な人に生まれたかった、と切実に思った。
「私、レギュラー専門ですから、人数的には清水さんとは変わらないのですよ〜」
「お互いこれからの時期が大変だけど、頑張ろうね」
2人で笑いながら話し、体育館に戻ると試合が始まった。