腹黒王子と毒舌王女
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最後の授業、あと1分。
授業が終わる前に片付けをし出す。
国見が大きくて隠れやすい為、注意もされずに済んだ。
ー…キーンコーンカーンコーン…
ガタッ
鳴ると同時に立ち上がり鞄を持ってドアまで行こうと一歩踏み出すと「はい、待った」と頭を鷲掴みにされてしまった。
「わ!あ、英!ね、寝てたんじゃ…」
「起きた」
「見逃して〜!」
「無理。先輩命令」
頭を鷲掴みにされたまま国見と言い合いをする。
できれば及川が来る前に終わらせて帰りたい。
誰か助けてと願っていると救いの真奈が顔を出した。
「莉子、何やってんの?逃げるんでしょ?」
「捕まえた」
「あー。ご愁傷様」
…前言撤回。
味方は誰もいなかった。
なんとか逃げようと動いてみるが、がっちりと掴まれた頭は動く気配がない。
そして授業が終わってからもう5分が経とうとしていた。
「莉子ちゃん、いるっ!?」
「捕まえました」
「ナイス国見ちゃん!…じゃ、行こうかぁ!」
さり気なく国見の手を払い、両肩に手を置いて、及川は女子が虜になるようなニッコリ笑顔で笑いかけてきた。
(なにこれ嫌な予感しかしない…)
目の前で笑う及川の笑顔に顔を引きつらせた。