青の騎士と護られ姫

□9
3ページ/9ページ




それからも岩泉とは上手く話せずに日曜日になってしまった。


少しずつ改善はされてきているはずだが、何故か上手くいかず、日曜日になってからやっとわかったことがあった。



「莉子…あー…これ、監と
「莉子ちゃーん!あ、岩ちゃんまだこれ渡してなかったの?これ監督に渡しておいて!」


「え、あ、うん…」
(やっぱり、気の所為じゃない)



及川が「任せて!」と言った次の日から、勇気を出して岩泉に話しかけるが毎回途中で及川が間に入ってくる。


岩泉が立ち去って及川が残り、最近は自然と及川と話すことの方が多くなっていた。



「ねぇ、徹君わざとだよね〜?」

「ん?え?なんのこと?」

「なにその顔、すーっごいムカつく〜」


「笑顔で怒んないで!岩ちゃんとは違う怖さがあるんだよ!」


「知らな〜いっ!」



ニッコリと笑顔を作り話しかけると、ニッコリと笑顔を張り付けて返してくる。


このニコニコと怒りを伝えると引き攣った笑顔のままの及川を睨み、ふいっと顔を背けて及川の前から立ち去り監督の方へと向かった。



「なんだ、及川がまた何か言ったのか?」


「なんでもありませんっ!」

「〜ったく、仲良くしろよ?」



溝口に頭を小突かれ、ムスッとしながら岩泉と及川を横目で見ていた。


最近少し気になることある。

それは及川と岩泉が明らかに仲が悪くなっているということだった。



「…なんか、岩泉と及川変じゃね?」

「うん、なんか噛み合ってないなー」

「最近会話も少なくないですか?」

「莉子、なんか知らねーの?」


「…いえ…」
(2人が…って言うより、ハジメ君がピリピリしてる…)



スパイク練になるといつも2人だけは失敗もなくどんなトスでも打っている岩泉のボールがブレていることが詳しくない自分にも分かる。


打ってから舌打ちをする岩泉に、ため息を吐きつつもいつも通りに振る舞おうとする及川を見て、不安になった。



「ねぇ…徹君〜、ハジメ君も…なんであんなにギクシャクしてるの…?」


「…別に、大したことじゃねーよ」

「んー…俺がちょっかいかけちゃってさ、岩ちゃんはちょっと今戸惑ってんだよ」



練習を終えてから2人に駆け寄ってみると、お互い顔を見る事もなく、ただただ質問に答えるだけで悲しくなる。


いつもなら言い合いがあったり、ボールをぶつけたり、ワイワイと騒ぐ事があってもおかしくなかった日常が無くなってしまった。



「…徹君は私の為にハジメ君にちょっかいかけて、ハジメ君はそれが原因で部活に集中出来ないんだよね〜?」


「…え?え、えっと…莉子ちゃん?」


「なら、私は2人が仲直りするまで部活に顔を出すのやめる」


「「はあ!?」」



視線をそらし、気まずそうにする2人が息を合わせてこちらを向き、2人をちゃんと見返してニコリともせずに黙り込む。



「え!?ちょ、ちょっと莉子ちゃん!?」


「私は、2人の応援がしたくて、2人の力になりたくて2人が最高の状態でIHに挑めるようにマネージャーになったの。それなのに…私のせいでそれができなくなるならマネージャーやめる」


「おい、莉子…」


「………私のせいで、ごめんね」



岩泉と及川に苦笑しながら告げ、その日から部活に顔を出すのをやめた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ