青の騎士と護られ姫

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「ねぇ岩ちゃん、俺明日の試合出られなかったらどうしよう。飛雄をけちょんけちょんにしてやるのが目的だったのに」


「何真面目な顔してクズみたいな事言ってんだクズ川。ちょっと黙れクズ」


「岩ちゃんこそ真面目な顔して酷くない!?もう最後なんかただのクズになってるよ!!」



朝から隣で落ち込んだり喚いたり騒がしく歩く及川をあしらいながら未だに良い考えが思い浮かばず頭を悩ませていた。


IHの予選は6月2日からでありその1ヶ月前にはGWがあり練習試合が鬼の様に詰め込まれる。


もし莉子がマネージャーになるとして、仕事に慣れてもらう為には今月中に決めて貰わなければならなかった。



「莉子ちゃんさ、何かきっかけがあればやってくれると思うんだよね、マネージャー!」

「…んだよ、急に」

「だって岩ちゃん、今その事考えてたでしょ?」


(なんで分かった!?)


「岩ちゃんが周りの声も聞こえない程考え込むなんてテストか莉子ちゃんの事だからねー?」



考えていたことを言い当てられてギョッとすると及川は可笑しそうに笑い、ニコニコとわざとらしい笑顔を向けてくる。


睨みつけながら「うるせーよ」と返すが及川のニコニコ顔は変わらず向けられ「良い事思いついちゃった!」とウインクをした及川に咄嗟に頭突きをいれた。



「ぐっ…!い、岩ちゃん朝からこれは散々なんだけど…!!」


「良い事ってなんだグズ及川早く言えグズ川聞いてやんねーぞこのグズ」


「最後にはただのグズになってるよ!!!…良い事ってのはね、莉子ちゃんに練習試合を見せれば良いんだよ!」


「………は?」
(それだけかよ)



頭突きを受けた左腕を摩りその左腕を上げて及川は人差し指を立てて懲りもせずウインクをする。


普段ならもう一発頭突きをする所だったが、“きっかけ”が“練習試合”だと言い切る及川の顔を眉を寄せながら見た。



「莉子ちゃんは俺達の試合が見たいけど見られない訳でしょ?なら“マネージャーになったら心置きなく見れるよ!”ってアピールすんの!」


「…練習試合なんか、お前のファンばっかで怖ぇーから余計来ねーだろ」
(お前が大声で莉子の名前なんか呼んだらそれこそ公開処刑する様なもんだろーが)


「そこは!岩ちゃんの腕の見せ所でしょ!?俺が誘ったって来てくれないし、岩ちゃんなんとかしてよ〜」


「最後は人任せかよ。使えねー奴だな」



ニッコリ笑い1番難しい役割を押し付けてきた及川にため息をついてから睨むと「お願い!」と手を合わせてくる。


説得は得意ではないし、ストレートに来て欲しいと言っても莉子は来ないだろうと考え、痛くなる頭を抑えながら学校に向かった。
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