青の騎士と護られ姫
□1章 1
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「及川さんのあのキャラは相変わらずだったのね」
「あれは変わらないよ〜…」
(目立っちゃったなぁ…)
入学式から説明などのホームルームを終えて真奈と昇降口へ向かう。
あの後、及川からは鬼の様にメールが来ていたが全て既読無視を貫き、今は携帯も大人しくなっていた。
「莉子?うわ、すげー荷物だな、山根も」
「あ…ハジメ君〜…」
「どもです」
「1年ってこんなに荷物あったか?…あー、お前らちょっと待ってろ」
岩泉は少し眉を寄せてから廊下の奥へと消えていき、真奈と2人で顔を見合わせてから端により、岩泉を待つ。
暫くすると、廊下の奥から必死に走ってくる及川と溜息をついて歩いてくる岩泉の姿が見えた。
「莉子ちゃん莉子ちゃん!一緒に帰ろう!荷物なら俺がぜーんぶ持ってあげるからね!」
「……ありがとう、及川さ〜ん。……でも遠慮するね〜!」
「なんで!?なんでなの!?」
「なんかヤだから〜?」
「そんな笑顔で断らないで!!」
岩泉は及川を呼びに行っていたのかと納得し、無理やり荷物を持って歩き出す及川を慌てて追いかける。
振り返ると岩泉が真奈の荷物を持って歩いてきているが、その間にいる女生徒達の自分を見る目が怖くて足がピタリと止まってしまった。
(…この視線、知ってる)
「何やってんだ、帰るぞ」
「わっ…!ハジメ君…っ」
今までに何度もあった嫉妬と羨望の眼差しは日が経つにつれて憎悪に変わり、嫌がらせに発展することを知っている。
慣れない不快感と恐怖に固まる体は、岩泉が腕を掴んで引っ張った事で再び門へと動き出した。
「大丈夫?莉子」
「あ…うん…!平気〜!」
「…何かあったら言えよ」
「うん!ありがとう〜」
前を歩く岩泉の背中を見てキョトンとしていると、真奈が心配そうに顔を覗き込んでくる。
その真奈に笑顔を見せると、岩泉までもが少し振り返りながら言葉を発し、2人の優しさに笑顔が戻った。
「もー、皆遅いよ!俺を待たせるなんて!」
「は?お前が勝手に歩いてったんだろうが」
「だってついて来てると思ったんだもーん」
「“もーん”じゃねーよ、うぜえ」
追いついた及川の発言に眉を寄せて嫌悪感を剥き出しにする岩泉に真奈と2人で苦笑して、先を言い合いしながら歩いていく2人を追いかけた。