腹黒王子と毒舌王女

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ファイナルセットが開始すると、また点の取り合いになり、ハラハラと見つめる。


烏野のエースが打ったスパイクを及川がレシーブで上げた。


「渡っち!!!」

「ハイ!!!」


渡はアタックラインのギリギリでジャンプしてトスを上げる。


「レェフトォオ!!!」


岩泉の声に釣られた瞬間、渡がトスを上げたのは及川だった。


満足そうに笑う岩泉に、バックアタックを見事に決めた及川を見て、初めてわざと声を上げたことに気づいた。


(…凄い…!2点差…、頑張って…!!)


及川のサーブを1番が上げ、エースが打ったスパイクを花巻が上げるが、直接返りそうになったボールを及川はネットを越えるギリギリでトスを上げた。


「ふぐっ」

「オラッ!」


岩泉がスパイクを決めて、2人でタッチする。


そんな幼馴染2人のやり取りを見て試合にハラハラしながらも同時に嬉しくなった。


試合が進み、日向がコートに入る。


そんな日向に少し警戒している及川を見て、首を傾げる。



すると、日向が練習試合で見せた、ワイドブロードが決まる。


その時の及川の顔を見て気づいた。



「…徹君が…焦ってる…?」

「どうした、倉澤」


「あ、いえ…及川さんの表情が、いつもと違うから少し見てたんですけど…焦ってる、みたいで〜…」


「タイムとるか」

「あ、いえ、及川さんは、とび…影山君みたいに焦った攻撃はしないと思います〜」


「…なら、少し様子をみるか」


入畑と話しながら試合を見守る。
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