腹黒王子と毒舌王女

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IH予選、1日目。


朝家を出るといつもと同じ朝なのに、IH予選と思うといつもと違う感じがする。



「お早う!莉子ちゃん!」


「お、お早う…テンション高いね〜…」

「眠いから逆にテンション高くしないとね!」

「普通でいいってば〜」



自分が試合に出る訳じゃ無いのに、少し緊張してしまう。

それを分かって、気を遣ってくれているのだろう。


何か特別な事を話すわけでもなく、2人でいつもの様に学校まで歩いた。




*****



仙台市体育館。


バスで着いて早々に、及川は他校の女子に囲まれてしまっていた。


1番後ろを歩いていた為、入畑や溝口は気づいていない。



「あーあ…止めなくて良かったのかよ」

「え〜。だって睨まれるの怖いです…!矢巾さん行ってきて下さいよ〜…」


「?及川どうした?」

「エ"」



荷物を持ってくれている矢巾の側を歩いていると、及川を連れてこなかったことを聞かれ、本音で答えた。


その会話をしてすぐ、入畑が振り向き、及川が居ないことに気づいた。


「えーーーっと…」

「なんだ」


「外で…他校の女子に捕まってます…」


気まずそうに矢巾が答えると呆れた視線を入畑と溝口に投げかけられる。


「おい、倉澤。なんで止めなかった」

「えっ!?私ですか!?」

「お前が言えば今頃及川もちゃんと着いてきてただろう……岩泉」


「ハイ。莉子、行くぞ」

「わ、私も行くの〜っ!?あ、待って〜!」



怒った顔の岩泉に呼ばれ、慌てて後を追いかける。


及川が女子に囲まれるなんていつものことなのに、とんだとばっちりだと追いかけながらため息をついた。
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