腹黒王子と毒舌王女

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新しい日々…なんて思ったのは前言撤回。


何も変わらない上に恋人関係になったからこそ余計に心が荒れている気がしてならない。


黄色い声援も、必要以上に絡んでくる及川も、それを見てブーイングされることも、今現在進行系で全てがストレスだ。



「昨日は色々あって忘れてたけど…これ毎日感じなきゃいけないのってどーなの〜…」


「そのうち慣れんだろ」

「慣れるの〜?これは…」

「慣れろよ」



金田一と国見とで昼ごはんを食べていると、体育館の方からニコニコ笑顔に青筋を浮かべた及川が歩いてくるのが見える。



「ねぇ、莉子ちゃん」

「な…何…?」
(なんか怒ってる…?)


「何で“彼氏”である俺から逃げて、“友達”である金田一や国見ちゃんとお昼食べてるの?」



顔はニコニコしているが、完全に怒っている。


2人に助けを求めようと見ると、顔を背けられた。



(うわ、酷い〜!)
「だ、だって、女の子に囲まれてたし…お腹減ってたから〜…」


「じゃあ今から俺と食べようね?」

「え?今から?」



首を傾げると側に座ってお弁当を片付けられてしまう。


あとちょっとだったのに、と眺めていると腕を掴んで立たされ、有無を言わさないニコニコ笑顔で引っ張られ、その場を後にした。



「莉子ちゃん、ここ、ここ座って」

「うん…」


言われた通りに座ると、及川は横に座ってニコニコと顔を覗いてくる。



(そう言えば、一緒に食べるとか言いながらなんにも持ってない…)

「徹君、ご飯は?」


「かき込んだ。あっさり見つけたけど、莉子ちゃん探すつもりだったから」


「…食べる?あと少ししかないけど」



おずおずとお弁当の蓋を開けながら言うと、キョトンとした顔をされてしまった。


どうしようかと悩むと、及川の顔がぱぁっと顔が明るくなり、一気に距離を詰めてきた。



「いいのっ!?莉子ちゃんのお弁当!!!!」


「い、いいけど…そんな良い物じゃな…
「あーん!」



見ているこっちが嬉しくなるほどの笑顔を見せて口を開けて待っている。



口元が緩むのを抑えられず、笑いながらおかずを口に入れた。
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