腹黒王子と毒舌王女
□7
10ページ/10ページ
そして次の日の部活後、莉子が部室に入ってきたかと思うと、
「用事があるから先に帰ってほしい」と言い出した。
「やだ。どこ行くの?何話すの?」
(告白だったらありえないムカつく)
「え…と、内容は知らないけど、3年1組に来て〜って。内容は聞かれたくないって言ってたから着いて来ないでね〜?」
他の男に会いに行くことに少なからず嫉妬を覚え、莉子を壁に追い詰め、逃げられない様にと壁に手をついた。
「なんでこんな詰め寄るの〜…」
「だって俺の莉子ちゃんが他の男のとこ行くなんて許せない」
「及川さんのじゃないから…」
大体の女の子はこうすると顔を真っ赤にして喜んだり、照れたりする。
しかし、眉を寄せて見上げて来る莉子はさすがと言うべきだろうか。
自分のことじゃなく、今から会いに行く男のことを考えているであろう莉子は俯いた。
面白くない。
顎をくいっと上げ、ぐっと莉子の顔との距離を詰める。
流石に目を見開いて緊張している様だった。
「おい、及川。ヤメロ」
「ったく、お前、必死すぎ」
「落ち着け。話してくるだけだろーが」
松川、花巻、岩泉に抑えられ、壁と莉子から引き剥がされる。
その間に莉子はちゃっかり部室のドアの前まで移動し、国見と話していた。
「だって俺の莉子ちゃんが!!」
「お前のじゃねーよ!」
「ちょっと話すだけだろ!落ち着けって!」
バタバタと暴れると3人係で力を加えられる。
国見と話していた莉子が、こっちを向いて笑顔で手を振った。
「じゃあ行ってくるね〜」
「莉子ちゃんっ!男は皆狼なんだよっ!気をつけないとダメなんだよぉっ!」
(って言うか行かないで!)
「莉子にとっちゃテメーが1番狼だっつの!」
「落ち着け!すぐ帰ってくるから!」
莉子の元に行こうと暴れたが抵抗も虚しく、騒いでいる間に莉子は出て行ってしまった。
「なんかあったらすぐ電話しろって言ったんで大丈夫ですよ」
「どーせ岩ちゃんにかかるもん」
「いじけんな、うぜえな」
胡座をかいて座り込むと、パシンと岩泉に頭を叩かれる。
いつ何が起きてもいい様に、莉子の帰りを皆で待つことにした。