腹黒王子と毒舌王女
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月曜日。
及川が捻挫をしていることが校内の噂で持ちきりになっていた。
そして朝練の後、岩泉からメールが来る。
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差出人 : 岩泉 一
04/** 10:31
件名 : Re:
本文
悪いが今日、及川はお前のとこには
行かない様にするからな。
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という内容。
(別に何も悪くないけど…?)
首を傾げていると、またメールが来る。
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差出人 : 及川 徹
04/** 10:33
件名 : 莉子ちゃーん
本文
岩ちゃんが怖くて莉子ちゃんに会いに行けない…。
莉子ちゃんに会いたいよー!!!!
寂しいけど放課後まで我慢するねっ!
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(いつも無駄に会いすぎだし…朝練と放課後に会うだけで十分でしょ…?)
眉をひそめてメールを眺めていると、クラスの友人の遥が覗き込んで来る。
内容を読んで笑い、頭を撫でてきた。
「今日は寂しいね、莉子」
「え、なんで〜?」
「及川さんが来ないから」
「別に平和で良くない?」
普通に遥を見ながら答えると、ギョッとした顔をしてから苦笑した。
「ほんとブレないね」と言われ頭を傾げた。
授業の合間に会いに来たりしていた及川が来ないととても平和だ。
睨まれることもないし、疲れることもない。
岩泉の監視付きで大人しくしている及川の周りにはさぞ沢山の女生徒が集まっているのだろう。
*****
お昼休み。
疲れが取れないのか体が重く、だるい感じがする。
「ねぇ英ー。キャラメルちょーだーい」
「ん」
「ありがとー」
国見とだらだら会話をしているとクラスの前に女子グループが集まる。
見た目からして上級生だろう。
嫌な予感がしながらもそっちを見ない様にして携帯を触っていると、影が落ちてきた。
「倉澤さん、ちょっといい?」
「………はい…」
見上げるとニコニコと可愛い笑顔だが、莉子はこの笑顔の裏を知っている。
中学時代にもよく見た笑顔だ。
(あの人が来ないとこっちが来るんだぁ…)
重たい腰をゆっくりあげ、クラスの注目を浴びる中で上級生に囲まれて教室を後にした。