青の騎士と護られ姫
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-岩泉side-
昔3人で遊んでいたあの公園。
いつも及川と2人で莉子の面倒を見ていたが、小学生でバレーを始めてから、構ってあげられなくなった。
きっと1人で寂しい思いをさせたのだろう、そう気づいたのはずっと後になってからだった。
バレーに夢中で、気づいてあげられなかった分、中学・高校でイジメがあればすぐに助け、守るつもりでいた。
(今日だって、国見達の方が行動が早かった、花巻達の方が判断力があった)
今まで莉子をきちんと守れた事なんて殆どなかっただろう。
実際、行動に移して莉子へのイジメを止めたのはいつも事が起こってからだった。
「…くそッ…!」
自分の不甲斐なさに苛立ちを感じ、舌打ちをして走る速度をあげる。
どう声をかけて良いかもわからないが、それでも、莉子を連れ戻したいという気持ちだけは確かに感じていた。
*****
小学生達が遊んでいる横を通り抜け、バレーコートのある方へと迷わず進む。
そのバレーコートの前に設置されたベンチに、捜していた莉子の姿を捉えた。
「…ハジメ君、怒ってるかなぁ…」
寂しそうな背中、思った以上に小さく見えるその姿に一瞬足を止めた時、小さな声だがはっきりとそう聴こえた。
(…そんな泣きそうな声すんなよ)
「…ッ、当たり前だ、ボケ!!」
「っ!は…じめ、君…」
黙って去った莉子や、何も気づけなかった自分への苛立ちと、暗い雰囲気を変えるために大袈裟に怒った振りをしながら声をかけた。
ビクッと肩を震わせ、立ち上がりながら振り向いた莉子の顔は驚きで固まっている。
ずかずかと莉子との距離を埋めれば、怖がっている莉子はじりじりと後ずさり、更に大股で一気に距離を詰めた。
「…勝手に辞めてんじゃねーよ」
「…っ!!??」
「監督から聞いた」
どうしてここに?なんて馬鹿な質問をする莉子に全てを説明する。
国見や金田一が捜しまわっていたことや、及川が発狂したこと、花巻や松川に迎えにいけと言われたこと。
莉子は嬉しそうに、可笑しそうに、けれどまだ寂しそうに、困ったように笑って聞き、また辛そうに俯いた。
(どうすれば伝わる?どうすればお前は帰ってくる?)
「…そんな泣きそうな顔するくらいなら、黙って辞めたりすんなよ」
「…でも…臨時マネージャーだったし…お別れするの、寂しかったから…」
「なんだそれ」
(変なとこで頑固だな…続けたきゃ続けたいって言や良いのに)
俯く莉子に言えば、肩を落としたまま呟くように言い、律儀な様な、頑固の様なその考えと行動に多少なりとも呆れてしまった。
自分のワガママを、相手に押し付けない様にした結果だったのだろうと思えば、勝手に辞めた事への怒りも収まってくる。