青の騎士と護られ姫
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-莉子side-
6月3日、IH予選2日目。
その初戦の相手は烏野であり、及川はほとんどいなかったが練習試合で負けたことは記憶に新しい。
継ぎ接ぎだらけのチームだった印象が、この2ヶ月見ない間に烏野のチームは驚くほどの成長を見せていた。
(…負ければ…そこで終わり…)
目の前で行われている3セット目はラリーが続き、1点を取るまでが長く、見ていて息が苦しくなるほどだった。
東峰のスパイクを及川が拾い、渡がトスを上げる。
「レェフトォオ!!!」
「「「!」」」
「大王様のっ、バックアタック!!?」
(…すごい…)
突然の出来事に固まってしまった。
岩泉は声を上げ、烏野の意識を自分に向けさせながらバックアタックの及川への対応を遅らせる。
そして次の及川のサーブは拾われて東峰のスパイクが来るが花巻の拾ったボールはネットを越えそうな勢いだった。
「ふぐっ」
「オラッ」
「わぁ…!!2人ともすごい…!」
(ずっと一緒だったから出来ることなんだよね…)
笑いながらハイタッチをする2人を見て、改めて2人の幼馴染みは凄いのだと感じる。
そんな2人と幼馴染みだという事に誇らしくなり、そしてもうすぐ終わってしまうと思うと寂しさが少し混じった。
(…今、此処に居られる事に感謝しなきゃ…)
試合が進んで日向が入り、コートの端まで移動し、近くにいた岩泉が対応するが間に合わずに点が決まる。
その1点から烏野の調子が上がり、烏野14-15青葉城西、離していた3点を一気に詰められ、ラリーも長く続いて選手の顔が余裕の無いものに変わっていた。
「…先生…もう、タイムア
「持って、来ォォオい!!!」
「!?」
(日向君っ!?)
「っフリーで打たしてっ、たまるかっ!!!」
入畑にタイムアウトを取る様に頼もうと声をかけると、日向の大きな声でかき消され、意識を持っていかれる。
真ん中で控えていた岩泉と松川が咄嗟に反応し、日向のブロックにつくが、日向は囮でど真ん中を東峰のバックアタックが貫いた。
「…っ、先生っ…!!」
「ああ…!!」
辛そうに顔を歪ませる岩泉達を見て、慌てて入畑のジャージを引っ張る。
入畑が立ち上がり、タイムアウトを取った瞬間、慌ててドリンクとタオルを控えの選手と手分けをして配った。
(皆、辛そう…!)
「体、大丈夫ですか…!?」
「大丈夫、心配すんな」
「ま、疲れるけどな」
「…疲れた」
「おい!言うな、国見!余計疲れる!」
(あ…なんか…大丈夫、そう…?)
声をかければ息を切らせながらも言葉を返してくれる選手を見て、少しだけ不安が和らぐ。
日向のブロード攻撃の対応を話し合い、コートへと戻っていくメンバーを見送り、始まった試合を見つめた。