青の騎士と護られ姫

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-莉子side-



6月2日、IH宮城予選1日目。

バスから降りて荷物を確認して入畑や溝口に報告をすると点呼をとって体育館へと歩き出す。


ボトルカゴや救急箱を持ち上げると岩泉にひったくられてしまった。



「莉子、傍から離れんなよ?花巻も松川もちゃんと見といてくれ」

「了解」

「相変わらずの姫扱いだな」


(これだけ囲まれてたら迷子になる方がすごいと思うんだけど…)



前を岩泉、両横を花巻と松川、後ろに金田一と国見に囲まれ、視界はほぼ0に近い。


この状態で迷子になれる筈もなく、ただただ着いて行くと、ふと入畑が振り返った。



「?…及川どうした?」


(そう言えば…徹君いない…)


「えーーーっと…外で…他校の女子に捕まってます…」

「「…………」」

「…岩泉」

「ハイ」



入畑と溝口が矢巾に訊くと、気まずそうに頭を掻きながら矢巾が答え、チームメイトから口々に溜息が漏れ、入畑と溝口は呆れた顔で固まった。


すっと視線を移し、呆れた顔のまま入畑が岩泉を呼ぶと、二つ返事でさっさと踵を返して歩いていく岩泉を見送る。



「あれ、姫、傍から離れるなって言われてなかった?」

「一緒に行かなくていいのか?莉子」


「…ハジメ君の顔見ました…?あんな怖いハジメ君にひっついて行く方が怖いですよ〜…」


「確かに」

「言えてる」



ニヤニヤと笑う花巻に国見が後ろから声をかけてくるが、岩泉の鬼の様な形相に笑顔すら作れずに眉を寄せて答える。


金田一と松川が頷き、2人が帰って来るまで雑談をして待っていると苛立ちを露わにした岩泉と頭を摩りながら小さくなって歩いてくる及川と合流した。



「なんか…試合じゃないのに緊張するね〜…」

「お前、そんなんで俺らの試合大丈夫かよ?」

「お、追い詰めるような事言わないでよっ、英の意地悪〜!」


「あっ!!らっきょヘッド!!!」

「「「???」」」



観戦席の席取りをする為、入畑に着いて歩きながら国見と雑談をしていると、少し騒ついている体育館の中、大きな声が聴こえた。


反射的に振り向くと、烏野の日向がこちらを向いている。



「ら、らっきょヘッド…?」

「らっきょヘッドって何だ?」

「ブッフ、お前以外に誰がいる」

「は!?」

「英がこんなに吹き出すなんて珍しいね」


「そこかよ!!」



意味がわからず首を傾げて日向を見ると国見が吹き出し、金田一の髪型よりも国見の方に気が行ってしまった。


ギャーギャーと話す金田一に笑って「ごめん」と対応している後ろで及川が日向に話かけ、岩泉に怒られている。


2人の様子に呆れつつも通常通りのやり取りに安心して止めないでおいた。
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