青の騎士と護られ姫

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「…お?早いな、お前…」

「あー!お早う〜!」

「おう。…元気だな…」


「えへへ〜、アラーム鳴る前に起きたんだ〜」



朝練の為に朝早くに起き、学校へ向かう途中にバッタリと岩泉と遭遇し、岩泉の傍まで走って並んで歩く。


前日にかけたアラームより早く起きれた上に寝覚めが良く、機嫌も良い為ニコニコと岩泉と話し、岩泉も「そうか」とニッと笑っていた。



「あ、そういや、お前のジャージ今日届くってよ」


「え?そうなんだ〜…!楽しみだ
「あぁあーーーーー!?岩ちゃん!?俺を差し置いて莉子ちゃんと2人ってどういう事!?」


「…うぜぇ…」



突然聴こえてきた声に2人揃ってギョッと驚いて振り返る。


少し後ろの方から及川が必死な顔をして走ってくる姿が見え、溜息をつくと岩泉は顔を顰めてポロリと愚痴をこぼした。



*****



朝練が終わり、国見や金田一と教室へ向かっていると岩泉と及川がギャーギャーと言い合いをしていた。


「うわ…」と漏らす国見と金田一に苦笑していると、及川がこちらを向きズンズンと近づいてきてガッと肩を掴む。



「莉子ちゃん!俺まだ怒ってんだからね!俺だけノケモノにするなんて!」


「ごめんってば〜…」
(目立ってる…!すごく目立ってる〜…!)


「しつけーしうぜー!!!」

「岩泉さん落ち着いて!」


「…俺、先に行くわ。お疲れっす」



岩泉と及川の2人のやりとりだけでもこれだけの注目を集めている中、背の高い国見や金田一が加わると余計に人目を集める。


さっさと輪から抜けた国見を慌てて金田一が追いかけ、幼馴染み組がその場に残された。



「それに!なにあの噂!岩ちゃんと莉子ちゃんが付き合ってるって噂!俺は!?」


「なんの話〜!?付き合ってなんか
「あーもーお前ちょっと黙れ!!!…莉子もちょっと来い」


「わっ…!ハジメ君っ!?」
(2人とも人目を気にして〜!人目を〜!!)


「あ"!!ちょっと待って!!!!」



頭の回転が追いつかない間に話も状況も進み、確認する前に及川と共に岩泉に連行される。


人が来ない事を確認した岩泉は頭を掻き、少し話しにくそうにしながら口を開いた。



「昨日、店に行ってる時と今日の朝一緒に歩いてんのを他の部活の奴に見られてたらしい」

「何それ!?じゃあちゃんと説明すりゃ良いじゃん!」

「別に噂程度だからほっときゃ良い、でも及川、とにかくお前は必要以上に騒ぐな」


「何でなのさー!?……あー、うん、そうか。うんうん、そうだね、わかったよ岩ちゃん」


(え?何が分かったの〜?全然わかんない…)



騒いでいた及川は無言で及川を見る岩泉の様子から何かを察したらしく、急に納得して頷く。


その2人を訳が分からずに眉を寄せて首を傾げていると岩泉にぽんぽんと頭を撫でられ、及川に思い切り抱きしめられ、真意を聞けないまま教室へと案内されてしまった。
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