青の騎士と護られ姫
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次の日の昼休み、真奈についてきてもらいながら3年の教室が並ぶ廊下に立ち、オロオロと周りを見渡していた。
「可愛いね〜!アドレス交換しない?」
「さすが及川の幼馴染みって感じだよな!レベル高ぇ〜!」
「な、莉子ちゃんって呼んでいい?」
「君、友達?君も可愛いよねー!」
「…通してほしいんですけど」
「ま、真奈〜…!」
(相手は3年生だよ〜!怒っちゃうよ〜…!!)
いきなり3年生の男子数人に囲まれ、身動きが取れなくなり怯えて真奈の後ろに隠れる。
チャラい男子に呆れた顔をしながら黙る真奈をハラハラと見ながら、誰か助けを求められる相手がいないかと僅かにある男子の隙間から辺りを見回していた。
「ねぇ、なんか人集りができてるよ?しかも男子の」
「…なんかいんじゃね」
(…!!この声!)
昼休みに用事を終えることはもう絶望的だと思った瞬間、目の前の男子の壁の向こうから聴き慣れた声が聞こえた。
助けを求められる人なんてこの人しかいないと震える体を真奈の背中にしがみつくことで誤魔化しながら息を吸う。
(お願い…!気づいて…!!)
「た…助けて〜っ!」
「え!?ねぇ今、声しなかった!?ねぇ!!」
「お前さっきからうるせぇな!」
そんなやりとりがあってから会話が聴こえなくなり、届かなかったのかと肩を落とした時、人を掻き分けて姿を現したその人物を見て緊張が解けた。
「ハジメ君〜っ!気づいてくれて良かった〜!」
「おわっ!…莉子、どうしたお前」
「え?莉子、もしかして莉子が呼んだの及川さんじゃなくて岩泉さんだったの?」
「そんな!!!莉子ちゃん!?気づいたの俺だよ!莉子ちゃん!!」
目の前に見えた岩泉の顔をみた瞬間、岩泉に抱きつくと驚いた顔で抱きとめてくれる岩泉。
まさかの表情をしながら静かに言う真奈と真奈の言葉に驚きを隠さずにすぐ傍で喚く及川。
いつも通りの雰囲気が自分の周りを包んだ事で少しだけ安心した。
「まさか、岩泉の彼女だったのか?」
「うわ…つかこの2人には勝てねーわ…」
「キミ達莉子ちゃんの事ナンパするなんてどーゆー神経してんのさっ!俺の莉子ちゃんだよ!?」
「黙れクソ及川!…俺も彼氏じゃねーけど…お前ら1年怯えさせてんじゃねーよ」
ぽん、と頭に乗せられた手は優しかったが、その手とは裏腹に男子生徒を睨み言う言葉には少しだけ怒気が含まれていた。
怒っているのかとジッと岩泉を見上げると「大丈夫か?」と訊かれ笑顔で頷く。
「そういや莉子ちゃんどうしたの?」
「珍しいな、3年の教室に来るなんて」
「あ…麻里先輩と宏香先輩に会いたくて〜…!」
「あいつらなら教室だろ、ほら、行くぞ」
及川や岩泉に促されて用件を言うと、腕を掴んで3年の男子を掻き分けて岩泉がずかずかと歩きだし、慌てて真奈の腕を掴んで引っ張る。
よろけながらもついてくる真奈の後ろから「ちょっと!置いてかないで!岩ちゃんっ!」とずっと及川が喚きながらついてきていた。