青の騎士と護られ姫
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他にも色々とやりたい事の候補はあったが、思ったよりも時間がなく、帰ることになった。
もちろん2人で莉子を家まで送り届け、そこから自分達の家にそれぞれ帰る、昔からの暗黙の了解。
「ねー岩ちゃん、俺と撮った顔なんでこんな怒ってんのー?」
「お前が余計なこと言うからだろ」
「莉子ちゃんのと全然顔が違う!莉子ちゃんとのプリクラの方が優しい顔してる!」
「はぁ!?変わんねーよ!そんなに!」
帰り道、突然プリクラを財布から取り出して及川が指を差しながら指摘をしてくる。
やいやいと言い合いを始めるとなんだかんだと止まらなくなり、拗ねた及川に眉を寄せた。
「もー!ケンカしないのっ!」
「わっ!」
「おわっ」
「昔はよくこうやって帰ったよね〜?」
(だからなんで腕組んでくんだよ!)
「〜〜っ!?なっ…!?おま…!!」
「ねー!」
バチッと睨み合っている所に後ろから莉子がタックルをしてきたかと思うと腕を組まれた。
驚いて変な反応をしつつも莉子を見るが、本人はニコニコと笑顔を振りまいてくる。
幼馴染みとはいえ、女子と腕を組む事に慣れていない自分の顔は莉子を意識してしまい真っ赤だった。
「岩ちゃん顔真っ赤!」
「うっせー、俺はお前と違うんだよ!」
(こんなの慣れてねーっつーの)
「えー?懐かしくない〜?」
「昔はガキだったけど今は違うだろ」
慣れている及川、意識していない莉子、この2人に口で言っても分かるわけもなく、早々に諦めモードに入る。
眉を寄せ、ため息をつきながらも、莉子の腕は払わずに黙って腕を組まれたまま送り届けた。
*****
莉子を送り届けた帰り、及川は仕舞ったはずのプリクラを取り出して眺めながら隣を歩く。
懲りないなと感じていると、また珍しく裏のない顔でニッコリと笑った及川がこっちを向いた。
「楽しそうだったねー?莉子ちゃん!久々に遊べて楽しかったよね!」
「そうだな…まぁ、たまには良いかもな」
「そんな事言って〜、莉子ちゃんに照れまくってたくせに!」
「な!?別にそんなんじゃねーよ!」
(つーか一々言ってんじゃねーよ!)
急にニヤッと笑った及川はピラピラとプリクラを見せながら歩く距離を詰めてくる。
その行動に腹も立つ上に恥ずかしく、いつも通りのやりとりだったはずが、なぜか自分に余裕がなく、上手く躱すことも出来ずにただただ歩調を速めた。