長編

□時空
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***



先日から屯所に伊東が加わった
そのおかげで彼女は
以前よりも自由を失うかと思ったが
沖田の一言で事が動いた



「ねぇ土方さん。名無しさんを巡査に同行させたいんだけど」


土方は苦虫を潰したような顔をして一言


「駄目に決まってんだろ
総司お前なに考えてやがる」

「だって僕の巡査中に
彼女が伊東さんに絡まれたら
嫌なんですよ
あの人の名無しさんを見る目
土方さんも知ってるでしょ??
彼女が女だってバレたら困るし」


伊東は名無しさんを一目見た時から
何かと突っかかっていた


「今朝の朝餉だってそうじゃないですか
彼女を舐め回す様にみて
『雪村さんは他の方と違って
食が細いのね。小柄だからかしら』
なぁんて言ってたし」

「さっき剣の稽古にも誘ってたぞ」


さすがの土方も
伊東の言動は気になっていた
小姓に対するものとは違い
明らかに興味を持っているかの
様だったからだ


「と、言うことで今日の昼の
一番隊にまず同行させますから」


片手をひらひらとしながら
沖田は言い捨てて
その場を後にした


「まったく勝手しやがる」


土方は盛大なため息を
一つこぼした





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