長編

□満月
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「おい名無しさん、せんべい食うか?お前アンコ苦手だっていうから違うもん買ってきたんだ。どうだ?」


原田はにこにこしながら
巡察帰りなのか隊服を着たまま
名無しさんに声をかけた。


「わ〜いっ左之大好き〜っお煎餅好き好き♪」

「俺もっせんべい好き好き♪」

「うるせぇ平助!お前には言ってねぇ」

三人で縁側でお茶をすすりながら
せんべいを頬張る。
すると原田は名無しさんの顔を
覗き込みながら問いた。



「最近名無しさんが元気なかったからよ。おい、なんかあったのか??俺でよけりゃ話聞くぜ?」

「そーお??そんなことないよー。ねー平助??」

「そうだよ左之さん。名無しさんは普段とかわんねぇぜ?」



誰にも相談できない。
出来るはずもない。


もうすぐ。
山南さんが羅刹となり。。。
沖田の病が発覚するはず。


。。。私が一瞬でも前の世界に
戻ることができたなら
総司の薬を持って帰って来ることが
出来るのなら
総司は助けられるかもしれない。



ふと、名無しさんは思いつく。
すると原田に聞いて見た。


「ねぇ左之、私が一番最初に皆に出会った場所ってここから違い?」

「そんな遠くはねぇよ。確か社の近くの裏路地だったはずじゃねぇか?なんだよ急に。」


名無しさんはすっと立ち上がると
ありがとうっと一言述べると
バタバタと自身の部屋へとかけていった。



部屋へと戻ると
押し入れを開けここに持ってきた
物を引っ張り出す。


。。。私の考えがあってたら



名無しさんはすっと立ち上がると
土方の部屋へと急いだ。
沖田に相談なんてできない。
あの人ならば。。。と
祈るような思いで
声をかけた。
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