長編
□本命は
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刻、一刻と時が過ぎる。
。。。なにか
なにかいい方法はない??
そもそも千鶴ちゃんもいないし鬼はいないかもしれない。
でも、もし居たとしたら。。。
山南がちらっと名無しさんを横目で見ると
青い顔をして唇を噛み締めていた。
「本命は池田屋でした!」
山崎がすっと入ってきて一言述べる。
すると山南の指示が飛ぶか否かで名無しさんは山南に向かって叫んだ。
「私も山崎さんと伝令に行きます!!役立たずでも1人より2人の方が確実ですから!!」
山崎と2人姿を消した先を見据えて
残された山南は1人ごちた。
「私が言おうとした台詞だったんですがね。雪村君は本当に未来人で。。。鬼もいるのかもしれませんね。。。」
***
「本命は池田屋。。。!」
土方の瞳が揺れる。
原田も斉藤も名無しさんの言葉に頷くと
「伝令ご苦労。」
「さすが未来人。。。だな。信じてやれなくて済まなかった。」
名無しさんの頭を2人が交互にぽんっと叩く。
「名無しさん、走るぞ。着いて来い。」
言い放つか否か
土方は駆け出していた。
息が苦しい。
ずっと走りっぱなしだということも確かにある。
だが
「平助っ。。。総司っ。。。」
無力な自分になにが出来るかなんて分からない。
だけど
何かせずにはいられなかった。
。