長編
□始まりは。。。
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「っっ。。。」
あわてて声を押し殺す。
人が切られている。
着物を着た人が手にしているものは、刀。。。??
白い刃には黒々としたなにかが滴り落ちている。
それが斬り殺された人の血だと認識するのにすごく時間がかかった気がした。
「キッーっキッキッキ」
刃を持った人は。。。
人とは思えぬ声を上げて倒れた塊に覆い被さると貪るように食らっていく。
息をつくのも忘れ
しゃがみこんだまま動けずにいた私を赤い瞳が捉えた気がした。
。。。なに? なにが起きてるの??
刃が上に掲げられ振り落とされる。
全てがスローモーションに見え、なにも出来ずにただ赤い瞳に捉えられていると
ザシュッ
私の頬に液体が飛んで来たかと思うと、刃が私を捉えることなくその場に落ちて赤い瞳の影が崩れた。
その後ろから現れた新たな人影。
浅葱色の羽織。
この人達も着物に刀。
「あーあ、残念だな。
僕1人で始末しちゃうつもりだったのに。斎藤くん、こんな時に限って仕事速いよね。」
なにかを話している会話を固まったまま私は耳にしていた。
「でもさ、あいつらがこの子を殺しちゃうまで黙って見てれば僕たちの手間も省けたのかな?」
月明かりの中
薄っすらと目の前の人が笑みを浮かべた。
これが私と新撰組との出会いだった。