短編
□ねぇ
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「ほら、名無しさんも呑めって。呑めねぇわけじゃねえだろ」
夕餉の後
彼女が呑めるとわかった途端
原田は彼女に酒を進めた。
そんなに飲めない。
と、いっていた割には。
にこにこしながら酒を舐める。
「はいはい、左之。」
「お?ありがとよ。」
「俺にもついでくれよ〜。」
「はいはい新八。」
原田も永倉も終始ご機嫌だ。
が、そこに不機嫌極まりない人が
一人いた。
「皆自分で勝手についで飲めばいいじゃん。なんで名無しさんに頼むかな。」
「いいじゃんか。総司。その方が酒が美味いんだから!と、言うことで。名無しさん俺も〜っ」
「そうそう、そんな向きになることないだろう?なぁ?」
そういう原田
彼女もうなづきながら続ける。
「うんうん、皆と飲むと美味しいもんね〜。お酌くらいどってことないよ〜。私的には冷たいビールが欲しいとこだけどね〜」
彼女の話に皆が興味を持つ。
原田は彼女の横にピタリとつく。
それが沖田にはとても癇に障る。
「それでびーるってのはどんな味なんだ??」
「氷の様に冷たくしてね〜色は黄金色でこうシュワシュワしてる。。。難しいなぁ説明すんの。」
「お前のいたところには面白い酒があるのだな。他にも珍しいものばかりだろう。」
斎藤までも彼女の話に食い入る。
確かに名無しさんの話は珍しく沖田も面白いと思ってはいる。
いるけれど。。。
「まったくもってこの僕を差し置いて。。。面白くないな。」
ちらっと彼女をみると
酒で蒸気した桃色の肌が少し着崩れた着物の
隙間から覗いている。
隣の原田はどさくさに紛れて彼女の
太ももに手を置いている。
それを気付いているのか気付いてないのか
彼女は気にも止めていない様子だ。
斎藤はチラチラと彼女を見ている。
訝しげにその視線の先を
沖田は目で追うと
少し彼女の胸元が開いていた。
。